(交流人口の拡大に向けた取組み)  インターネットにより地域をアピールできる手段が確保されるとはいっても、その「アピール」するものが魅力的なものでなければ、交流人口の増加には結びつかない。観光の場合であれば、観光客が再度訪れるような「リピーターを創出する魅力」が求められる。そのためには、イベントにおいて地域の風土・文化の魅力を最大限に引き出す個性的なものを企画・実行することと同様に、街並みや景観においてもその地域の風土や文化の香りを色濃く反映したものとする取組みを行うことや、イベントを観てもらうだけでなく参加させることによって「地域への親近感」を持たせることなどが必要である。また、地域個別に行っているイベントを近隣地域内で同時期に行うことにより観光の内容がより豊かで魅力的なものとなる結果、リピーターの創出や、観光客の滞在期間の延長に伴う地域への経済効果の増大が期待されるほか、前述した農業体験などの都市と農山村との関わりは継続的な交流が期待される。  このように交流を深化させる取組みが求められる中、その基盤となる幹線道路等の整備が不可欠であるが、一方でこの道路に沿った人の流れを活用し地域交流を図る取組みも行われている。駐車場等の休憩施設と地域振興施設が一体となって整備されている「道の駅」がそれである。全国で約550ヶ所が登録されており、安心して休憩でき、地域の文化や名所、特産品等を紹介する地域交流の核として定着しつつある。道の駅から地域の地元情報を発信し、誰もが気楽に立ち寄って交流できる個性的な快適空間を提供することによって交流が図られているところは多い。 〈「道の駅」の整備の事例〉  国道9号線沿いにある道の駅「ポート赤碕」(鳥取県東伯郡赤碕町)は、平成5年11月に道の駅として登録され、平成6年8月に開設した。「漁港のまち」としての特色を生かした活魚海産物を販売する海産物直売センターを設置するとともに、近隣の船上山と一体となった公園整備により年間約20万人が訪れ、地域の活性化に寄与している。  また、国道326号線沿いにある道の駅「宇目」(大分県宇目町)は、平成7年8月の登録以来、年間約20万人の利用者があったが、平成10年度は40万人を超え、ドライバーの休憩だけでなく、レストラン、オートキャンプ場、遊歩道等があり、地域の交流拠点として利用されている(図表2-2-5)。