(「医」×「住」)  まず、高齢化が進行していく社会において人々が安心して暮らしていくためには、保健医療・福祉分野(「医」)が充実されていく必要があり、現在においても最優先課題として取り組んでいる自治体は多い。その中でも保健医療・福祉分野を中心とした定住促進施策により近年では人口増を達成している淡路島の五色町の取組みを紹介する。 〈「健康文化都市」を目指す淡路島五色町〉  淡路島中央南西部に位置する兵庫県津名郡五色町は、高齢化率が26%を超える高齢化の進んだまちである。昭和45年に過疎地域に指定されて以来、企業誘致、公園整備、宅地開発供給、公営住宅建設を推進するとともに健康福祉施策、地域情報施策とあわせた総合的な定住促進対策に努めた結果、平成7年度国勢調査において初めての人口増を実現している。特に、健康づくりを含めた包括的なケアシステムの取組みは、現在、住民の全ライフステージに沿った総合ケアのための保健医療福祉機能を統合する段階に入っており(図表2-2-6(a))、この充実した福祉サービスを求めて島外から移住して来る者も多い。また、このような町の取組みは、いわゆる「寝たきり老人」の着実な減少等に見られるように、「健康な住民」の増加に結びついている(図表2-2-6(b))。  五色町のように「健康な高齢者」をつくるという視点は、医療費による財政圧迫や経験知を備えた労働力としての活用などを考慮すると積極的に推進していくべきものである。そのためには高齢者であっても生き生きと暮らせる環境を整備していくことが必要であり、まち全体のバリアフリー化を推進していくことが不可欠である。