(公共工事における入札・契約制度改革)  コスト縮減を通じた生産性の向上や、発注者ニーズに応えた新たなサービスを生み出す原動力になるのは、言うまでもなく「市場における競争」である。  しかしながら、建設業界においては、これまで何度も談合の摘発が行われており、市場における競争が必ずしも十分機能していたとはいい難い面がある。特に、建設市場はその約半分が公共発注に依存していることから、市場のあり方も公共工事の入札・契約制度に大きく影響されており、制度の適切な運用が重要である。  建設省においては、既に第1章第3節で述べたように、平成5年に相次いで発生した公共工事をめぐる不祥事を契機として、一般競争入札方式の採用など公共工事の入札・契約手続の透明性・客観性、競争性の大幅な向上を図り、「不正が起きにくい」システムづくりを進めるとともに、最近では、価格以外の技術力等の要素を重視した入札・契約方式の導入も進めているところである。  具体的には、1)設計から施工に至る各段階において、民間からの技術提案を受け付けるVE(Value Engineering)制度、2)施工のノウハウを設計に反映できる設計・施工一括発注方式、3)価格と価格以外の要素とを総合的に評価して落札者を決定する総合評価方式等の導入を進めているところである。  これらの方式においては、技術力に優れる建設業者等の受注可能性が高まることから、技術開発や生産性向上に対する取組みが促進されることが期待できるとともに、技術力競争は、単なる価格競争と比べて談合等の不正行為を著しく困難にするという効果も有している。