(建設産業の現場のミクロの労働生産性)  ものづくりの施工現場の労働生産性をミクロの労働生産性と呼ぶ。技能労働者の労働活動を適切に表す指標としては「物的労働生産性(施工量1単位当たりの労働投入量またはその逆)」、「労働力原単位(総工事費評価額100万円当たりの労働投入量)」などがある。景気動向に左右されることのない、一人当たりの仕事量の指標の数値が、例えば技術・技能の向上による作業効率化等により向上する。ただし、業種ごとの現場労働生産性は比較できるが、作業労働の性格が特殊な建設業関係の調査であり、他産業との比較は困難である。  物的労働生産性を表わす「面積原単位(延べ床面積10m2当たり就業者数(人・日))」でみると、マクロでは労働生産性は低下傾向であるが、ミクロでみると例えば木造建築部門の工事は現場の労働生産性が経年で着実に向上している(図表2-3-5)。  このように、特に建設産業の労働生産性向上を考える際には、外注率が7割まで上がり、専門工事業者が実質的に現場を担当し建設生産の中核を担うに至っている現在、現場の施工を担当する専門工事業の専門的技術・技能者の労働生産性の向上が不可欠である。手段としては、省力化型の工法・工材の開発などの技術革新の導入、現場で直接施工を担う基幹技能者の確保、多能工の育成などが最も効果があると考えられる。