第2節 近年の災害の多様化 (火山)  北海道の有珠山は、平成12年3月27日午前から地震が多発しはじめ、同月31日に噴火が始まった。  政府は噴火前の3月29日から災害対策関係省庁連絡会議を開催し対応を行っていたが、噴火後は直ちに有珠山噴火非常災害対策本部を設置した。  建設省においては、噴火後直ちに有珠山火山噴火災害対策本部を設置し、また現地対策本部へ専門家及び関係者を派遣して、迅速な対応に努めている。応急対応としては、現地画像を衛星通信車等を使用して関係機関へ配信するなどの情報収集や噴火の影響の最小化を図るための措置を行っている。また、観測体制を強化するために、GPSによる広域的な地殻変動観測や空中写真撮影及び人工衛星画像解析による地形変化の計測等を行うほか、避難生活や被災者への支援のために、既設公営住宅空家の活用及び応急仮設住宅の供与支援等を行っている。道路についても、適時適切な交通規制や道道の国道230号への編入等により道路交通の安全性と代替機能を確保した。熱泥水及び二次泥流(土石流)に対して、土砂災害対策専門家チームを派遣し、雨量計・土石流検知センサー・監視カメラを設置し、GPS搭載無人ヘリコプターによる調査、地形変化を把握するためのレーザー測量等を行い、警戒避難や火山噴火の予知に役立つ情報の提供等を行ったほか、雲仙普賢岳でも活躍している無人化施工機械による対策に着手している。また、避難指示が解除された区域に対しては、一刻も早く平常時の生活に戻るための災害復旧事業を鋭意実施している(6月12日現在までの主な対応である。)。  ハザードマップ等の整備もあり、住民の平時からの火山に対する防災意識が高く、避難が順調に行われ人的被害を防ぐことができたものの、依然として避難生活を送られている方々の生活の再建は重要課題であり、関係機関と連携して支援を行っている。