(耐震対策及び地震に強いまちづくり)  阪神・淡路大地震の教訓を生かした災害対策の強化が図られてきている。建設省においては、阪神・淡路大震災より得られた教訓として、「生活者重視の原点は安全と安心である」との認識の下、「被害を最小限にするまちづくり」「災害弱者の安全確保、地域特性に対応し、生活、都市活動の広がりに応じた安全性の確保」「ハード、ソフトの連携による総合的な安全性の確保」「リダンダンシー(多重性・代替性)の確保」を安全についての考え方とした上で、震災に強いまちづくりの基本方針を打ち出し(「震災に強いまちづくり構想(平成7年4月)」)、総合的な施策を展開している。  なかでも、都市直下型地震で、建造物の崩壊による犠牲者の多さもあって、耐震設計・構造の研究が進んだ。道路橋については、橋脚の倒壊、橋桁の落下等の被害が発生したため、道路橋の技術基準の見直しが行われ、平成7年2月に「兵庫県南部地震により被災した道路橋の復旧に係る仕様(「復旧仕様」)」が通知され、その後の調査研究により平成8年11月には耐震設計に関する部分をはじめとして道路橋示方書が改定された。また、地震発生時の緊急輸送活動を支える緊急輸送道路ネットワーク計画が各地方公共団体で策定されている。河川堤防については、堤防の緩傾斜化などの耐震性の強化を実施している。建築物については、「建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年)」に基づいて、現行の耐震基準に適合しない建築物の地震に対する安全性の向上を図るための耐震改修が促進されている(図表3-3-1)。また、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(平成9年)」に基づく施策の推進を含め、都市の面的整備や段階的整備により、防災上危険な密集市街地の解消に努めるとともに、災害時の延焼拡大防止、避難・消防・救援活動等に寄与する公共施設を整備し、震災に強い都市構造の形成を図る(図表3-3-2)。特に、阪神・淡路大震災においては、多くの都市公園が避難地、火災の延焼防止、自衛隊やボランティア等の救援活動拠点、仮設住宅用地として活用された。このため、被災地、防災活動の拠点となる防災公園の整備を推進している(図表3-3-3)。また、阪神・淡路大震災以降、政府の地震調査研究推進本部において、全国に約2千あるといわれている活断層のうち活動的な98断層帯の活動等の評価を進めている。現在までのところ5つの断層帯について活断層の位置・形状、活動区間、活動時のマグニチュード、活動区間ごとの地表における変形の量、現時点での活動可能性等の評価が行われ、その情報が公表されたところであるが、現時点で講じることが可能な当面の対策について検討を進めているところである。