(パートナーシップによるまちづくり)  まちづくりを推進する上で、まちづくりに関わる主体である行政、住民、企業がそれぞれの役割分担によりパートナーシップを組んで総合的に取り組むことは重要であり、イギリスにおいても、その考え方に基づいて「グラウンドワーク」として推進されている。  日本においても、まちづくりを推進するための行政と住民等の協力が重要であることについては認識されており、昭和55年の都市計画中央審議会は、緑豊かなまちづくりを推進する上で、都市公園等の公共的な緑地の整備のみならず、民有地における緑地の保全と緑化の推進が不可欠であるという観点から、「地域の良好な環境形成に資する民有地緑化は、公共的な見地からも極めて重要であることから、単に所有者等の責務に期待するだけではなく締結し、市町村長の認可を受けるもの、地域住民の積極的な参加、協力による都市緑化活動を醸成、活発化させるための方策を確立すべきである。」と提言した。  ここでは、花と緑のまちづくりを支援するための住民が主体となり、行政、企業とパートナーシップを築いていった事例について紹介する。 〈大阪府堺市のパートナーシップによる花と緑のまちづくり〉  大阪府堺市大仙校区は百舌鳥耳原中陵(伝仁徳天皇陵)に近い人口1万2,000人の住宅地であり、区内では大仙校区の自治会が主体となって、花と緑のまちづくりのための「花咲きプロジェクト」を平成9年から実施している。「花咲きプロジェクト」は、まちの緑化を推進することを目的とし、緑化の素材を種や苗から育てることや、育てた花と緑を各自の家の庭先や街角のスペースに飾り付けることを「楽しむ」ことを主眼としている。自治会は、緑化計画やまちづくりに関する知識や経験のある公益団体や造園コンサルタントから活動に必要な支援を受け、また、地元企業からも活動に必要となる機材の貸与等の協力を呼びかけ、行政も合わせて、市民、企業が一体となったプロジェクトを展開している。現在では会員107名、校区内に820基の草花のプランターが並ぶほか、緑について学ぶ講習会やイベントを開催するなどの活動をしている。