(3)建設技術に係る資格制度等について イ 技術者資格の海外との相互承認  建設コンサルタント業務の成果は技術者個人の能力によることが大きいため、建設省では、公共事業の調査・設計等において、技術者の質的な指標となる資格制度を積極的に活用している。  公共工事の入札・契約制度の大改革、WTOの新たな「政府調達に関する協定」の発効など、建設コンサルタントサービスを含む我が国の建設市場の国際化が急速に進展しており、また、世界各地で経済の地域統合化に連動して、地域内での技術者の移動性を促進するために技術者資格の相互承認が進められている。我が国が属するAPEC域内においても、相互承認のフレームワーク及び相互承認の具体的手続・機構等について検討している。  共通の基盤で技術者の評価ができるような国際的に整合性の取れた技術者資格の相互承認制度の確立は、公共事業における建設コンサルタント業務の品質確保の観点や、我が国の建設コンサルタントの海外活動のために重要な課題である。このため、建設省では、「技術者資格検討委員会」を設置し、技術士制度を中心とした相互承認のあり方や、技術者資格の活用方策等の検討を進めると同時にAPEC技術者資格相互承認プロジェクトに積極的に参画している。 ロ 建設技術者の資格認定 1) 測量士  測量法では、基本測量及び公共測量の正確さを確保するため、測量の計画・実施に従事する技術者資格(測量士・測量士補)を設け、測量技術の維持向上を図っている。測量士及び測量士補の資格は、試験合格者等の登録により生じ、その状況は、表2-III-2のとおりである。なお、国土地理院が行っている国家試験において、平成11年は、測量士試験に410名(合格率9.3%)、測量士補試験に4,015名(合格率16.9%)が合格した。 2) 技術検定等  建設工事の施工技術の向上を図るため、建設業法に基づく技術検定を毎年実施している。技術検定の種目及び合格者数は、表2-III-3のとおりであり、合格者には級及び種目の名称を冠する技士の称号を与える。 3) 建築士  建築士法で、建築物の設計・工事監理等を行う技術者の資格(一級、二級及び木造建築士)を定めて、その業務の適正化を図っており、免許登録の状況は表2-III-4のとおりである。 4) 建築設備資格者   「第2 国土建設施策の動向」の「V 良好で活力ある都市環境の創造及び建築行政の推進(V-2 建築)」の2-(7)-ロ-2)「建築設備資格者の育成」を参照。 5) 土地区画整理士   「第2 国土建設施策の動向」の「V 良好で活力ある都市環境の創造及び建築行政の推進(V-1 都市)」の2-(6)-ト-1)「土地区画整理士技術検定」を参照。 6) 浄化槽設備士試験   「第3 建設活動の動向、建設産業と不動産業」の「II 建設産業の動向と施策」の2-(5)-ハ-2)「浄化槽設備士試験」を参照。 ハ 建設行政研修の充実  建設行政に関する研修は、職員の職務遂行における効率性の向上を図ること、職員が新しい行政需要を先行的に把握し適応し得る能力を養成すること及び職員が生きがいをもって職務に専念できるようその執務活力の向上を図ることなどを主眼として、「建設行政研修に関する基本方針」に基づき、建設大学校を始めとする各機関等において実施され、その充実を図っているところである。  建設大学校では、「建設大学校研修基本計画(平成10年度から平成14年度までの5箇年計画)」に基づき、建設行政に対するニーズの変化と技術の進歩に的確に対応する教科内容の一層の充実及び研修方法の高度化等研修内容の充実を図り、73コース、受講者数2,983人、延べ52,952人日(受講者数×期間)の研修を実施した。  各地方建設局では、各地方建設局において策定した研修5箇年計画に基づき、新しい行政課題への対応能力の向上を目的としたカリキュラムの工夫や、執務活力向上型研修の充実を図る等、227コース、受講者数5,827人、延べ44,125人日の研修を実施した。  財団法人全国建設研修センターでは、建設大学校研修の補完的研修を実施する立場から103コース、受講者数5,945人、延べ34,836人日の研修を実施した。