IV 地域活性化の推進 1 地域活性化に向けた取組み (1)国全体としての経済基盤の強化を図るためには、社会経済情勢の変化に柔軟に対応できるよう、できるだけ中央に依存しない、各地域の特性を活かした自立した地域経済を確立する必要があり、地域の経済拠点の形成による地域の活性化を図ることが重要な課題である。  建設省においては、従来より、住宅・社会資本整備を重点的に実施し、地域における定住・交流条件を改善するとともに、地域自らの創意工夫に基づき、地域が主体となって行う特色ある地域づくり、ふるさとづくりを総合的、計画的に支援するために、各種の施策を講じてきたところである。 イ 地域活性化の基盤づくり  災害に対する脆弱性を克服した安全な国土づくり、人・物・情報の円滑な交流ネットワークづくり、地域経済の活性化の基盤づくり及び良好な都市環境・居住環境づくりのために、国土保全、水資源開発、高規格幹線道路を始めとする広域交通体系の整備等や地域における道路、河川、公園、下水道等の整備、良好な住宅・宅地の供給等を総合的に推進する。 ロ 個性と創意工夫を活かした地域づくりへの支援  歴史、伝統、文化を活かした地域づくり、魅力ある景観を活かした地域づくりなど、個性と創意工夫を活かした地域づくりを支援するため、建設省所管施設の整備とあわせ、ふるさとづくり推進のための計画策定に係る支援、地域づくりを企画・推進する民間企業の育成、所管施設空間の提供等民間活動や住民相互の交流活動への支援、地域整備情報システム等による地域づくりのための情報提供の促進等の施策を推進する。 (2)地域社会の近況を鑑みると、従来からの都市間の成長格差の拡大、地方圏における高齢化の進展といった問題に加え、為替レートの変動等により、産業の空洞化・雇用の喪失など地域経済についての深刻な問題が生じており、今後の国土構造や地域づくりにとって大きな課題となっている。  このような状況下、国土構造や地域づくりと相互密接に関係する地域経済の活性化が重要との視点から、本格的な高齢社会の到来、高度情報化社会の進展、大競争時代の本格化による国際化の進展などの潮流の変化を踏まえ、地域産業の活性化や魅力ある就業の場の確保と、いきいきと住み、憩い、学べる環境の創出を目指し、新たな国土・地域のあり方に関する取組みの基本的方向を明らかにすることが必要である。  また、今後の厳しい経済・財政状況等を勘案すれば、これらの問題を各市町村のみで解決することは極めて困難であり、近隣市町村等との連携交流を活発化するとともに、地域の核となる都市との間で日常生活や経済活動の機能の相互補完的な関係を強化するなどの広域的な取組みが強く求められている。  以上の基本認識の下、建設省においては、新たな連携・交流の推進により、個性的で活力ある地域が我が国経済社会を支える「いきいき・ふれあい列島」の形成を提言した「新連携時代の快適生活ビジョン」(平成7年11月)に引き続き、高齢化の進展、中山間地域の活力の低下、産業の空洞化・雇用の喪失といった地域経済にとっての深刻な問題に対応すべく「地域経済活性化のための建設行政の基本的方向」(平成8年6月)を策定し、魅力ある地域づくりや多層型連携を可能にする国際化に対応した国土づくりについての基本戦略と各地域で行われている具体的な取組事例を踏まえた施策展開を整理し、地域経済活性化のための地域づくりや国土づくりの取組みの基本的方向を取りまとめた。  加えて、平成10年3月には、「21世紀の国土のグランドデザイン」が閣議決定され、豊かで暮らしやすい国土を形成していくための指針が示されたところである。また、平成10年9月に内閣総理大臣より提唱のあった「生活空間倍増戦略プラン」の一環として、複数の市町村等が広域的な連携のもと、自らテーマを選んで生活空間を創造するための総合的プラン(地域戦略プラン)を策定することとされ、平成11年6月10日に全国460地域が認定を受けた。建設省としては、このプランに位置付けられている所管事業の推進について、地域戦略プラン事業推進費の活用などにより、地域の要望を踏まえて積極的に取り組むこととしている。  さらに、平成11年7月に食料・農業・農村基本法が制定され、平成12年3月に食料・農業・農村基本計画が閣議決定された。今後、この基本計画に基づく「農村の振興に関する施策」を含め、農山漁村の総合的な振興について、関係省庁が連携して施策を講じる必要がある。特に建設省は、魅力ある国土・地域づくりを積極的に推進する観点から、農山漁村で不可欠なインフラ整備を都市部との連携・交流等広域的な視点で総合的に推進する等の重要な役割を担っているところである。  今後も、これらに示された基本戦略、基本指針に沿い、各種施策を具体化し、関係省庁との連携を図りつつ積極的に取り組むこととしている。