(6)土地区画整理の推進 イ 土地区画整理事業の役割と施行状況  土地区画整理事業は、道路、公園等の都市基盤施設と宅地を一体的に整備することにより健全な市街地の形成を図る事業であり、既成市街地の再構築、新たな都市拠点の形成、安全な市街地の形成等、都市の再開発、宅地供給に果たす役割は極めて大きい。  この事業は、地方公共団体、土地区画整理組合、都市基盤整備公団、地域振興整備公団等の様々な主体により施行されており、平成11年3月31日現在の施行状況は表2-V-11のとおりである。 ロ 道路整備特別会計による土地区画整理事業の推進  一定面積以上の施行地区において、都市計画道路の整備に要する費用を限度に、道路整備特別会計により補助を行っている。平成12年度は事業費2,727億円により761地区で整備を行う予定である。 1) 既成市街地の再生・再構築を促進する事業の推進  既成市街地において、都市機能の再生を促進する土地区画整理事業を推進する。  特に、 イ)空洞化が進んでいる地方都市等の中心市街地で商業の集約・再編や公共公益施設、共同住宅の立地等による再生 ロ)木造密集市街地等防災上危険な市街地の解消による安全な街づくりを図る事業 を推進する。 2) 地域の新しい拠点市街地の形成を促進する事業の推進  地方の自立的成長の促進及び国土の均衡ある発展を図るため、魅力ある拠点市街地を形成する事業を推進する。  特に、 イ)大都市圏の核都市や地方拠点都市地域の拠点市街地を形成する事業(注) ロ)鉄道跡地等の大規模空閑地を活用した拠点市街地を形成する事業 を推進する。  これらの拠点市街地の形成に当たっては、都市基盤整備公団、地域振興整備公団施行による都市機能更新型の土地区画整理事業等を活用するとともに、関連道路整備、連続立体交差事業等と連携を図る。 3) 大都市圏等において住宅宅地供給を促進する事業の推進  大都市地域におけるゆとりある住生活の実現と地方都市活性化に資する定住基盤確立のため、都市基盤の整備された良質な住宅宅地を供給する土地区画整理事業を推進する。  特に、 イ)常磐新線等の鉄道新線沿線において大量の住宅宅地を供給する事業 ロ)大都市法に基づく特定土地区画整理事業 ハ)地方拠点都市地域において定住基盤の確立を図る事業 を推進する。 ハ 一般会計による土地区画整理事業の推進 1) 都市再生区画整理事業の推進  土地区画整理事業の換地手法による街区の再編や低未利用地の集約、公益施設や共同住宅の立地促進等を通じて、既成市街地における防災性の向上、被災した市街地の復興、中心市街地の活性化、土地の有効高度利用、市街化区域内農地の計画的宅地化等を推進し、都市の再構築を行う土地区画整理事業の重点的・効率的な実施を図るため、都市再生区画整理事業を推進する(図2-V-6)。 2) 田園居住区整備事業の推進  市街地の周辺地域において、地域の特性にふさわしい良好な居住環境が確保された田園居住区の整備を推進するため、田園居住区整備推進指針、整備・保全構想及び田園居住区整備計画の作成並びに田園土地区画整理事業に対し、一般会計により補助を行う田園居住区整備事業を推進している。 ニ 特色ある土地区画整理事業等 1) 敷地整序型土地区画整理事業の推進  土地の有効高度利用を図るため、換地による交換分合を通じた敷地の集約化を主眼とした敷地整序型土地区画整理事業の実施を積極的に推進する。このため、区画道路の付け替えや道路の角切り、公共的空地等の整備と一体となった植栽・舗装の打替えについても土地区画整理事業における公共施設の新設又は変更に該当する旨を徹底するとともに、事業立上げ支援のための無料相談窓口として、(財)東京土地区画整理協会内に東京まちづくり支援センターを設置するなどの措置を行っている(図2-V-7)。 2) ふるさとの顔づくりモデル土地区画整理事業  地域の発意と創意に基づき、うるおいのある生活環境の創造及び地域経済の活性化を図るため、個性的で魅力ある都市空間の形成を図る必要が高く、かつ、施行者及び権利者の積極的な取組みがなされており、公共施設整備と併せて地区計画、建築協定等により計画的な建築物の整備が誘導されるなど、一定の総合的整備効果が期待され、先進的な事例となりうるものをふるさとの顔づくりモデル土地区画整理事業として推進する。 3) 次世代都市整備事業  地球温暖化、ヒートアイランド、廃棄物などの環境問題、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえた防災問題、高度情報化への対応などは、我が国の都市における大きな課題となっている。  太陽電池、コージェネレーションをはじめとする新エネルギー・省エネルギーに関連する技術などの導入は、都市レベルまで面的に普及するにはまだ至っていないのが現状である。これらの技術を複合・統合化した新しい都市システムを開発し、具体の都市に導入することにより、面的に普及させることが必要である。  こうした背景を踏まえ、環境、新エネルギー・省エネルギー、防災、高度情報化等に関連する技術のうち、都市及び都市システムに関連する技術を複合・統合化し、現実の都市への適用を先導的に行うパイロット事業に対して補助を行い、次世代の都市システムとして社会的定着を図り、新たな都市像・都市生活像を示すことを図るため、次世代都市整備事業を推進する。 ホ 阪神・淡路大震災の復興事業の推進  阪神・淡路大震災により被災した市街地を、土地区画整理事業により速やかに復興し防災性に優れた市街地とするため、被災市街地復興特別措置法に基づく「被災市街地復興推進地域」における土地区画整理事業について、次のような補助制度の創設・拡充を行い、事業を推進している。 1) 道路整備特別会計による補助制度について、面積要件及び補助基本額算定の基本となる都市計画道路の幅員を緩和 2) 都市計画道路が整備済の地区における一般会計による補助制度の創設  被災市街地復興推進地域内で実施される土地区画整理事業について、公共施設の整備水準の向上に要する費用を限度として公共施設整備費、移転補償費等に対して補助する。 ヘ 土地区画整理事業に対する貸付金及び融資制度 1) 住宅宅地供給促進型土地区画整理事業貸付金  大都市地域における住宅宅地供給の促進等を図るため、土地区画整理組合等及び保留地管理法人への無利子融資及び業務代行者による事業の推進に資する用地の先行取得に対する低利融資を行っており、平成12年度は、事業費118億円をもって事業を実施する。 2) 民活区画整理緊急促進事業(NTT-A型)  土地区画整理事業による社会資本整備を促進するため、NTT株式の売却収入の活用による開発利益吸収型事業として、土地区画整理組合、都市基盤整備公団、地方住宅供給公社等が土地区画整理事業において整備する道路、公園等の整備に要する費用の一部を無利子で貸し付ける本事業を実施する。 3) 街づくり促進道路整備用地取得事業(道路開発資金)  土地区画整理事業の予定地区(減価補償地区で、都市計画決定済みかつ事業計画が概ね5年以内に決定されることが確実と見込まれる地区)において道路の整備改善のために土地開発公社が行う用地の先行取得に対して、道路開発資金(道路開発資金貸付金及びこれと一体的に運用する民間資金)による低利融資を行う。 ト 土地区画整理事業に対する技術支援 1) 土地区画整理士技術検定  土地区画整理事業の円滑な施行、専門的技術者の養成・確保を図るため、昭和58年度より土地区画整理士技術検定を実施し、平成12年3月末現在10,301人が合格している。 2) 財団法人区画整理促進機構の活用  土地区画整理事業の一層の推進を図るため、(財)区画整理促進機構においては、円滑な事業着手のための専門家派遣・調査研究、事業施行者の資金確保及び保留地取得者の融資のための債務保証、資金・技術力の乏しい土地区画整理組合に対する業務代行者紹介、事業地区の宅地利用の推進のための支援等の多様な事業を実施している。 (注)85の地方拠点都市地域のうち82地域において、拠点形成に土地区画整理事業を活用