(2)国土の測量の新たな展開 イ 国土の監視体制の強化  我が国は、世界でも有数の地震・火山活動の活発な造山帯に位置するとともに、梅雨・台風等の風水害などが多発する脆弱な国土の条件下にある。また、国土が高度に利用され、土地利用の変化が激しい我が国においては、環境の保全も特に重要な課題である。  このため、防災と環境保全に必要となる各種地理情報を総合的・機能的に取得・解析・整理し、国土の状況を監視する体制の強化が必要である。 ロ GISの普及促進  近年は、経済社会の高度情報化が急速に進展し、電子技術・情報通信技術の驚異的な進歩によるコンピュータ関連技術の高度化には著しいものがある。このような潮流のもと、高度情報化社会の国土情報基盤となるディジタルの地理情報を広く流通させ、地域に関する情報と地図とをコンピュータ上で結合させて必要な情報を検索・解析・表示するGISを早急に普及させることが求められている。  地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議が策定した「国土空間データ基盤の整備及びGISの普及の促進に関する長期計画」においても、平成11年度よりGISの普及期に入っており、同連絡会議が平成10年度末に決定した「国土空間データ基盤標準及び整備計画」に基づき、国・地方公共団体や民間の様々な分野で、標準仕様に準じた国土空間データ基盤の整備やGISの積極的な導入が求められている。 ハ 地理情報整備のグローバル化  経済社会の国際化、高度情報化が進む中、測量技術の革新、測量・地図分野のグローバル化に対応した新たな測量システムの構築が求められている。現在、我が国で用いている日本測地系は、日本独自の位置基準であり、世界共通の位置基準である世界測地系に基づいた測地基準点成果が必要となっている。  また、国際間でのGISの相互利用に関する機運の高まりから、国際標準化機構(ISO)において地理情報の国際標準化作業が精力的に進められており、我が国においてもGISの国際標準化への対応が求められている。  日本列島の地震・火山活動は、東アジアや西太平洋を含む広い地域における様々な地殻活動により特徴づけられており、この現象を解明するためには、地球規模での地殻活動を十分に把握する必要がある。  人類共通の課題である地球環境問題の解決のための基礎資料として、地球陸域全体を対象とした地理情報基盤である数値地図データセット(地球地図)の整備が必要である。