日本と海外におけるITS(高度道路交通システム)の取組み  ITS(Intelligent Transport Systems)は最先端の情報通信技術を用いて人と道路と車を一体として構築し、安全性・快適性の向上等を図る全く新しい道路交通システムです。ITSは世界中で取組みが進展しており、ITSという言葉自体も現在では世界共通語になっています。  ITSを効率的に構築していくためには設計図のようなもの(これを「システムアーキテクチャ」と言います)が必要です。米国は1996年6月、日本は1999年11月、欧州は2000年3月にそれぞれの地域におけるITSシステムアーキテクチャを完成させ、今後はこの設計図に基づいたITSの開発が進んでいくと思われます。  次に現在のITS展開状況に目を転じてみます。日本のVICS(道路交通情報通信システム)は、日本の道路事情とドライバーのニーズを反映して世界に類のない高度な情報提供システムです。また、欧米、アジア諸国に遅れて世界で23番目に導入された日本のETC(有料道路におけるノンストップ自動料金収受システム)はセキュリティが高く、汎用性のある技術を用いています。  ITSの分野においても熾烈な国際標準化競争が始まっています。特にISO(国際標準化機構)においては、ITSの標準化を議論する専門委員会が設けられ、基本概念、通信技術、サービスなどが議論されています。各国とも積極的に研究開発を進めており、実用化が見込まれる技術やシステムを国際標準化項目として提案し議論しています。特に、自動車とインフラが協調するシステムについては各国が標準化に向けた動きを活発化しており、日本においてもより一層の研究開発並びに国際標準化のための提案活動が求められていると言えます。