(6)高潮・津波・侵食等対策

1)海岸保全計画制度の整備
 海岸法では、主務大臣が海岸保全基本方針を策定し、それに基づき都道府県知事が海岸保全基本計画を全国71沿岸について策定することとされている。
 海岸保全基本方針は、今後の海岸行政の指針としての役割を果たすとともに、都道府県が策定することとなる海岸保全基本計画の方向性を示すもので、平成 12年5月に策定、公表(農林水産省、運輸省(当時)、建設省(当時)の共同告示)された。
 これを受けて都道府県知事が策定する海岸保全基本計画は、沿岸全体についての環境・利用を含む海岸保全全般に関する部分と、個別海岸の海岸保全施設の整備に関する部分からなる。後者はその案を各海岸管理者が作成するものであり、その際には公聴会の開催等、地域の実情に応じた手法を用いて地域住民等の意見を広く聴取することとしている。

2)美しく、安全で、いきいきした海岸の創出

(ア)面的防護方式の推進
 堤防や消波工のみで海岸線を防護する線的防護方式から、沖合施設や砂浜等も組み合わせることにより防護のみならず環境や利用の面からも優れた面的防護方式への転換をより一層推進する。

図表II-6-6 面的防護方式
図表II-6-6 面的防護方式

(イ)省庁連携事業の推進
 海岸の防護のみならず、海のもつ様々な機能の保全に配慮し、事業の効果をより一層向上させ効率的な事業を行うため、他の事業との連携を積極的に進めている。具体的には、河川、ダム、港湾等に堆積した土砂を海岸侵食が顕著な海岸へ有効活用する渚の創生事業や、治山事業と連携して自然環境と利用に配慮した海岸の保全(白砂青松の創出)を実施している。

3)沖ノ鳥島の保全
 沖ノ鳥島は、我が国の国土面積を上回る約40万km2の排他的経済水域を有する国土保全上きわめて重要な島であるため、点検・観測・補修等の適切な維持管理を国が海岸管理者として全額国費にて実施している。

4)地球温暖化に伴う海面上昇に対する国土保全の方策の検討
 地球温暖化に伴う海面の上昇により、沿岸域を中心に甚大な影響が懸念されることから、13年8月に有識者からなる「地球温暖化に伴う海面上昇に対する国土保全研究会」を開催し、モデル地域において、影響の把握や対策等の検討を行っている。

 

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