第2節 良好な生活環境の形成  我が国では、国土面積の約4分の1を占める都市計画区域に総人口の約9割が居住しており、都市は大多数の国民の生活の場となっている。しかし、第I部で概観した通り、21世紀を迎えた今日においても、高度経済成長期のひずみとしての都市問題をはじめ、オープンスペースや緑が少なく、水辺空間の潤いが少ないなど、都市における生活環境にはまだまだ改善すべき課題が多く存在する。  防災面では、全国に約25,000ha、東京では都心周辺部を中心に約6,000haもの木造密集市街地が存在し、また、都市公園や道路などのオープンスペースが少ないなど、災害に対し脆弱な構造になっている。近年では、集中豪雨時の地下浸水対策なども課題となっている。 図表II-1-9 東京23区と欧米主要都市の道路面積率比較 図表II-1-10 東京23区と欧米主要都市の公園面積率比較  また、我が国の都市構造の特徴として、例えばニューヨークと東京を比較すると東京の人口密度が中心部で低く周辺部で高いことから分かるように、薄く広がった構造になっている。このことは、職と住の遠隔化による長時間通勤・通学の一因にもなっており、近年高まりつつある都心居住のニーズに応えるためにも、都市中心部で快適な居住を享受することのできる都市構造に改めていく必要がある。 図表II-1-11 東京とニューヨークの人口密度比較 図表II-1-12 都市鉄道の主要区間の平均混雑率