(7)航空事業 1)近年における航空輸送の動向 (ア)規制緩和と事業者の取組み  航空事業については、近年、段階的な規制緩和を行った後、12年2月からは一層の競争の促進を通じた利用者利便の向上の観点から、規制緩和の総仕上げとして、需給調整規制の廃止等を行った。  このような流れの中で、スカイマークエアラインズ・北海道国際航空(ともに10年運航開始)やフェアリンク(12年8月運航開始)による新規参入が行われた。また、各事業者により、利用者の多様なニーズや各地域の状況などに対応して、各種割引運賃の設定等柔軟な運賃設定が行われてきている。この結果、国内線における平均運賃は、中期的には大幅に下落している。 図表II-9-13 運賃体系の現状について 図表II-9-14 国内航空運賃(平均運賃)の推移(大手3社) (イ)輸送の動向  運賃低下による需要誘発効果もあって、国内旅客輸送量は12年度まで継続して上昇しており、なかでも幹線旅客の伸びが大きくなっている。12年度は特にシャトル便の開設された東京-大阪間の輸送が好調であった。13年に入ってからも、景気の悪化にかかわらず国内航空旅客輸送は堅調に推移してきた(ただし、13年10月には米国同時多発テロ事件により沖縄線を中心として前年同月比で減少に転じた)。一方、国内航空貨物輸送は12年においては好調であったが、景気の低迷等を反映して13年に入って軟調に推移している。  また、国際旅客・貨物輸送は、12年までは順調に増加した。しかし、13年に入ってからは米国等に対する輸出入の落ち込みによりまず国際貨物輸送が大幅に減少し、13年9月11日に発生した米国同時多発テロ事件により国際旅客輸送も同年9月以降激減した。 図表II-9-15 国内航空旅客数の推移 2)米国における同時多発テロの影響と政府による支援策  米国同時多発テロ事件は、航空輸送量の減少による収入減や航空保険料の追加徴収等による費用増加、さらには航空保安体制の強化による費用増加により航空会社の経営に大きな影響を与えている。  このような中、テロ等による第三者への損害が発生した場合に20億米ドルを限度として賠償金の支払いが可能となるよう、日本国政府として適切な措置を講ずる旨を13年10月に閣議決定した。また、米国同時多発テロ事件の影響を受けている航空会社に対して、日本政策投資銀行から、「緊急対応等支援制度」等により緊急融資を実施することとした。