(2)不動産取引市場の整備、不動産管理の高度化等 1)不動産取引市場の整備  我が国の不動産取引市場の不透明性や閉鎖性を払拭し、公正で透明な市場の形成とともに消費者保護の一層の増進を図っている。  物件情報の充実により消費者の選択の幅を広げるとともに、適正な価格形成に資するため、指定流通機構(レインズ)の公開している平均成約価格等の市況情報の充実も図っている。 <指定流通機構(レインズ)>  宅地建物取引業者が指定流通機構に物件情報を登録し、広く業者間で情報交換を行う仕組み。広く取引の相手方を探索でき、迅速、透明な不動産取引が可能となる。また、指定流通機構は報告された成約情報を基に平均成約価格等の市況情報を公表している。  国土交通省としても、不動産業の業況、価格動向等の調査を行い、不動産取引市場の動向把握に努めている。また、指定流通機構の協力を得ながら、インターネット上での市況情報の提供を進めるなど、不動産取引の情報化を進めている。 2)不動産管理の高度化、不動産業の人材育成 (ア)マンション管理業の登録制度の創設  マンションストックの増大に伴い、マンションの適正な管理の確立が緊急の課題になっていることを踏まえ、マンションの管理の適正化の推進に関する法律が制定(平成12年12月1日成立)され、13年8月1日より施行された。この法律により、マンション管理業者に業登録と管理業務主任者の事務所ごとの設置を義務づけ、業務規制を課すことなどが規定された。 <マンションの管理の適正化の推進に関する法律概要> 1.目 的  多数の区分所有者が居住するマンションの重要性が増大していることにかんがみ、マンションの管理の適正化を推進するための措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上等に寄与することを目的とする。 2.管理組合による管理の適正化を確保するための施策 (1)国土交通大臣によるマンション管理適正化指針の策定 (2)管理組合、区分所有者による適正な管理に関する努力義務規定 (3)国・地方公共団体による情報提供等の措置 3.マンション管理士の資格の創設 (1)マンション管理士  国土交通大臣の登録を受けて、管理組合の運営その他のマンションの管理に関し、相談に応じ、助言・指導等を業として行う者 (2)マンション管理士の義務等  名称使用制限、秘密保持義務、講習受講義務、信用失墜行為の禁止  4.マンション管理業の適正化のための措置 (1)マンション管理業登録制度の創設  ・登録の義務づけ  ・管理業務主任者の設置  ・業務規制(重要事項説明、委託契約書面交付義務、修繕積立金等の分別管理)  ・情報開示(管理実績、財務諸表等) (2)マンション管理業の健全な発展を図るための団体の指定  ・管理業に関する苦情の解決  ・管理業に従事する者に対する研修  ・管理費等についての保証 5.マンションの管理の支援のための専門的な組織の指定 (1)管理に関する相談、苦情処理 (2)管理組合への情報提供、技術的支援 6.分譲段階における適正化の措置  竣工図書の管理組合への引渡の徹底等 (イ)不動産業の人材育成  不動産の有効利用ニーズに応えるビル経営管理士認定制度、不動産コンサルティング技能の審査・証明事業認定制度により、高度な専門家を育成している。また、人材育成の一環として、宅地建物取引主任者に関する各種講習の充実を図っている。