第I部 人口の減少、少子高齢化の進展など人口構造の変化に対応した国土交通行政の展開 

コラム・事例 公共施設管理等における地域住民等との連携

○道路管理における連携
 「夢千代ロード」(一般国道9号)は、兵庫県但馬地域の温泉郷として、また、小説「夢千代日記」の舞台となったことで知られる温泉町(湯村温泉)内の区間につけられた愛称です。
 国土交通省では、地域住民団体が道路管理者と協定し、道路の美化活動等を行い、それを道路管理者が用具の支給等により支援する「ボランティア・サポートプログラム」を実施しており、平成13年4月から温泉町内国道9号環境美化推進協議会が参加し、「夢千代ロード」の清掃・緑化・美化運動を行っています。
 温泉町では現在、町民による花壇や花作りの推進を図る「花いっぱい運動」が展開され、周辺景観に対する意識の高まりが見られます。婦人会や老人会も活動に参加し、四季折々のフラワーロードづくりに努めています。
 環境美化推進協議会の中心的な役割を果たしている「竹田老人クラブ」は温泉町による花壇整備支援を受けて活動しており、指導員による除草技術作業や土づくりの指導もあって、元気な花を咲かせて喜んでいます。
 
活動状況


 
サインボード設置状況


 
ボランティア・サポート・プログラムの基本的な仕組み



○河川管理における連携
 荒川中流部に整備した三つ又ビオトープの維持・管理は、荒川中流部で活動する市民団体約60団体が設立した「荒川流域ネットワーク」が行っています。行政では対応が難しい、植物の種類に応じたきめ細やかな除草や、洪水後のゴミなどの除去を行い荒川本来の姿の再生を目指しています。
 



○砂防事業における連携
 山地の荒廃裸地化が著しい栃木県足尾地区では、小学生の体験植樹の作業指導や植樹会の企画運営を行うNPO法人「足尾に緑を育てる会」と連携し、毎年多くの参加者を集めて緑化活動を展開するなど、近年、土砂災害に対する安全性を高め、かつ良好な環境の保全・創出を図るために、地域住民やNPO法人等と連携した砂防事業が各地で進められています。
 
NPOによる植樹活動と連携した山腹緑化



○海岸事業における連携
 海岸事業においても、香川県で「さぬき瀬戸」パートナーシップ事業とよばれる海岸における市民団体の自主的な取組を行政が支援する制度が始められるなど、市民団体と行政の連携した取組みが行われています。これは、県・市町が、市民団体と協定を結ぶことで、市民団体による海岸清掃活動の際の保険費用の負担や、清掃道具等の提供、回収された一般ごみの処理などを行うもので、住民と行政が手を取り合った活動が展開されています。このような海岸に対する取組みは全国各地に広がりつつあります。
 
「さぬき瀬戸」パートナーシップのパンフレット



○下水道管理における連携
 栃木県宇都宮市にある越戸せせらぎ通りは、「下水道水緑景観モデル事業」として整備された親水水路で、地域住民の憩いの場として親しまれています。このせせらぎ通りを日頃から通学路として利用している地元中学校生徒会が、隣接する小学校児童やPTA、周辺住民も参加する地域ぐるみのボランティア活動を主催し、園路や水路の清掃を毎年定期的に実施する美化活動に努めています。
 


 



 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む