第II部 国土交通行政の動向 

第2章 都市再生の推進

 第二次大戦後、我が国の経済社会が急速に発展していく過程において、都市化が急速に進展し、都市に集中する産業や人口の受け皿づくりへの対応に追われることとなった。しかしながら、経済・社会が成熟し、人口のピークも間近に迫る中で、都市が拡大する「都市化社会」から、産業、文化等の活動が都市を共有の場として展開する成熟した「都市型社会」へと移行してきている。
 一方、現在の都市には、長時間通勤、慢性的な交通渋滞、緑やオープンスペースの不足など、過去の急激な都市化にも起因した20世紀の負の遺産ともいうべき課題が山積していることに加え、高度情報化、少子・高齢化、国際化等近年の社会経済情勢の変化への対応が遅れるなど、新たな課題も発生してきている。
 こうした状況の中で、都市の中へと目を向け直し、21世紀に相応しい魅力と活力に溢れた都市へと再生を図っていくことが重要な課題となっている。
 また、都市の再生は、重厚長大産業から都市型産業への転換といった経済構造改革を推進していく上で効果的であるとともに、土地の流動化を通じて不良債権処理等にも資するものである。
 このため、国土交通省では、内閣に設置された都市再生本部とも密接に連携しつつ、優良な民間都市開発事業の推進、交通基盤の充実や安全・安心な生活の実現、良好な都市環境の確保等に全力をあげて取り組んでいるところである。

 

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