第II部 国土交通行政の動向 

(2) 交通機関・重要施設等に対するテロ対策

1)海上関係
 海上におけるテロの未然防止措置として、臨海部の米軍施設、原子力発電所、石油備蓄基地、LNG・LPG基地等の重要施設に対する巡視船艇・航空機による警備を強化している。あわせて、海賊対策のため東南アジア周辺海域に派遣している巡視船により、テロにも備えたしょう戒を実施し、我が国への海上輸送路を航行する日本関係船舶の安全確保を図ることとしている。
 さらに、海事・漁業関係者等からの密航等海上犯罪に係る情報収集強化、警察・入管等関係機関と連携した立入検査の更なる徹底を行うとともに、生物剤・化学剤テロ対策等強化のため、テロ対処部隊の体制強化を行うほか、重要施設の警備強化のため巡視船艇・航空機の整備等により警備能力・即応体制の強化を図っている。
 また、米国同時多発テロ事件以降、継続している不審物・不審者発見のための船舶・港湾施設における巡回等管理の強化、不審物発見に係る旅客への協力要請放送等による周知徹底、旅客船乗船者の出入りチェックの強化、緊急情報伝達体制の確保等の自主警備策を、情勢に応じて点検・強化している。
 一方、国際的取組みとしては、国際海事機関(IMO)において船舶自動識別装置の搭載前倒し、船舶保安計画、港湾保安計画の策定義務付け等、国際労働機関(ILO)において船員の本人確認等のテロ対策について検討されてきており、特にIMO関係では、平成14年12月の条約採択会議において前述のテロ対策を内容とするSOLAS条約の一部改正が採択され、16年7月の発効に向け、我が国国内の体制整備等について関係者間で準備を進めている。

2)陸上交通関係
 新幹線等において、駅構内の防犯カメラによる監視、駅構内の巡回警備の強化、車内巡回の強化、運転室扉の施錠の徹底を行うとともに、沿線の巡回警備の強化、車両基地の入出場の管理及び巡回警備の強化等を実施している。
 また、バス車内、車庫、ターミナル等に爆発物等の不審物が仕掛けられる事態に対応するため、始業・終業時等における車内の点検、営業所・車庫内外の巡回、ドアロックを徹底するとともに、主要バス乗降場に警戒要員を配置して不審者、不審物に対する警戒強化等を実施するよう、テロ対策の実施状況の随時点検について指示している。
 さらに、宅配便等の貨物に爆発物等の不審物が混入される事態に対応するため、荷受人からの不審貨物の連絡時や営業所等で不審な荷物を発見した場合の対応について周知するとともに、テロ対策の実施状況の随時点検について指示している。

3)重要施設等
 ダム等の河川管理施設等の管理体制の一層の強化や、河川、ダムにおける巡視の強化、遠隔監視カメラの設置等による監視体制の実施、主要道路の管理強化、国営公園管理の強化等について指示した。また、貯水池等水源水域における毒物感知システムを導入している。

 

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