第II部 国土交通行政の動向 

第3節 地球環境の観測・監視

1.地球環境モニタリングと地球温暖化予測

 海洋の変動は気候に大きな影響を及ぼすことが知られているが、現状では広大な海洋内部の観測データは乏しく、海洋の状況を把握するには水温や塩分を始めとする海洋観測を充実させることが必要となっている。
 そのため、海洋の内部を自動的に観測する装置(アルゴフロート)約3,000個を全世界の海洋に展開し、リアルタイムで監視・把握するシステムを構築する「ARGO(アルゴ)計画」が国際的に提唱され、世界気象機関(WMO)などの関係機関による国際協力の下で推進されている。国土交通省ではこの国際的プロジェクトに積極的に貢献し、長期予報の精度の向上や気候変動研究の進展を目指して、文部科学省と連携して平成12年度より「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」を進めており、アルゴフロートの展開の一部を担当するとともに、全フロートからのデータを収集し、インターネットで公開するデータベースを運用している。また、ARGO計画で得られるデータをはじめとする海洋観測データや大気の観測及び予測データを用いて数値計算により海洋の状態を予測する海水温予測モデルの高度化を図るとともに、平成14年5月からは、データベースの高度化を図った。ARGO 計画の進展により、気候変動や異常気象による被害や損害を防止・軽減するための対策を講ずることが可能になると期待されている。
 また、気象研究所では、気候モデルの開発や数値実験を行い、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」などの国際的な取組みへ貢献している。さらに、黄砂予測情報の提供を目指したモデル開発等を行っている。

 
図表II-7-3-1 高度海洋監視システム(ARGO計画)の観測概要

高度海洋監視システムとは、海洋気象観測船等により海洋に投入されたアルゴフロートは、およそ10日毎に水深約2000mまで投下・浮上を繰り返し、その際に測定される海面から水深200mまでの水温などを衛生を経由して自動的に通報するシステムである。通報した数は平成14年12月9日現在で672個である。

 

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