第II部 国土交通行政の動向 

3.地域の自主性に基づく地域特性を活かした交流拠点づくり・まちづくり

(1)地域に密着した各種事業、制度の推進

1)まちづくり総合支援事業
 市町村が中心市街地活性化等の地域の抱えるまちづくりの課題解決に向けて自らの創意工夫により策定する「まちづくり事業計画」に基づき、ハード事業からソフト事業まで多彩なメニューを地区で一括採択し、支援を行っている。補助金は地区で一括交付し、「まちづくり事業計画」の範囲内であれば個々の事業の具体的な配分等は市町村の裁量に委ねられている。

 
図表II-8-2-3 まちづくり総合支援事業のスキーム図

事業の活用方策の検討などの各種調査や専門家の派遣などのまちづくり活動への支援といったソフト事業や道路整備、公園整備、市街地再開発、駅前広場人工地盤整備などのまちづくり事業計画の範囲内のハード事業に対して支援している。

 
図表II-8-2-4 まちづくり総合支援事業の例

静岡県浜松市では、中心市街地の活性化のため、区画整理事業、再開発事業、歴史公園の整備、行政施設、街路事業、舗装の高質化などが行われた。

2)地域間交流支援事業
 地域の個性、魅力の発信と他地域との交流を推進するため、複数の市町村が連携して、ハード(連携のための施設整備等)とソフト(ハードを活用した地域活動等)を一体的に実施するモデル的先導的な事業を平成14年度は22箇所において支援している。

3)道の駅
 駐車場等の休憩施設と地域振興施設を一体的に整備することによって、道路利用者のための「休憩機能」、道路利用者や地域の「情報発信機能」、活力ある地域づくり、道を介した地域の連携、交流を促進する「地域の連携機能」を持つ「道の駅」の整備を進めている。平成14年8月現在、全国701箇所が登録されている。

 
図表II-8-2-5 道の駅のイメージ

道の駅に設置されている施設には、休憩目的の利用者が無料で利用できる十分な容量の駐車場、清潔なトイレ、道路や地域の情報を提供する施設、地域振興施設がある。

4)水辺の交流拠点整備
(ア)水辺プラザの整備
 市町村の行う河川、渓流沿いの交流拠点整備と連携して河川整備を行い、川を基軸とする地域の特性を活かした交流ネットワークを構築し、その核となる交流拠点として「水辺プラザ」の設置を推進している。平成15年2月現在、全国で108箇所が登録されている。

 
図表II-8-2-6 水辺プラザのイメージ

地域交流の拠点にふさわしい水辺空間として、川の資料館、親水護岸、カヌー・ボートのための川の港、キャンプ場、多目的広場、乗馬場などの施設がある。

(イ)ふるさとの川整備事業の推進
 市民の憩いの場として水辺を再生する必要のある河川において、地域のまちづくり事業と連携し、周辺の地域特性にあわせた「まちの顔」となる良好な水辺空間を整備している。平成14年4月現在、185河川を認定している。
(ウ)桜づつみモデル事業の推進
 河川管理者が堤防を強化し、市町村が桜等を植樹することにより、良好な水辺空間の形成を推進している。平成14年4月現在、290箇所を認定している。
(エ)マイタウン・マイリバー整備事業の推進
 河川事業と沿川の市街地整備に関する事業を、地域の住民や学識経験者の意見を反映させながら一体的に実施し、河川と周辺地域が調和した良好な水辺空間整備を行い、安全でうるおいのある優れた都市域の形成を図っている。平成14年4月現在、4河川を認定している。
 
<ふるさとの川整備事業>


 
<桜づつみモデル事業>



5)地域住民の参加による地域特性に応じた河川管理
 河川環境の専門的知識をもち、豊かな川づくりに対する熱意のある人を河川環境保全モニターとして委嘱し、モニターの協力を得て、河川環境の保全・創出及び秩序ある利用のための諸業務や普及啓発活動をきめ細かく行っているほか、河川に接する機会が多く、河川愛護に関心を有する人を河川愛護モニターとして委嘱し、河川管理者はモニターの協力を得て、河川へのゴミの不法投棄や施設の異常の発見など、河川管理に関する情報収集を行い、あわせて河川愛護思想の普及啓発に努めている。
 また、河川の清掃、草刈等を行うボランティア団体、地域住民に対して、河川敷を植樹や花壇などとしての利用に開放し、地域に根ざした親しみある水辺空間の形成を図るラブリバー制度を推進している。
 さらに、市民参加型の河川管理を行うため、河川の特定の区間と住民とを養子縁組し、除草・清掃などの管理を住民が行う制度として、「旭川アドプト・プログラム」(岡山県)などを実施している。

6)地域の活性化を支える港湾
(ア)地域の活性化を支える港湾(みなとまちづくりの推進)
 地域の個性ある発展を将来にわたり着実に進めるため、「みなと」の資産を住民・市民の立場から再評価するとともに、観光産業などの地域産業、海に開かれた特性など「みなと」の資産を最大限に活用して、市民の合意の下で美しく活力のある「みなと」空間を形成し、「みなとまちづくり」を推進している。地域の住民、NPO、市町村、港湾管理者等が協働し自ら作り上げる「みなとまちづくりプラン」の策定を支援するとともに、事業の実施にあたっては、地域の活性化をより早く、効果的・効率的に実現できるプランについて投資の重点化を図っている。

 
図表II-8-2-7 住民等が参画・連携する「みなとまちづくり」の推進

学識経験者などの地域代表や地域住民でみなとの資産を活用した将来構想と実行計画について検討し、みなとまちづくりプランの策定を行い、国は情報提供や港の整備などを行うことによりそれを支援している。

(イ)多目的ターミナルの整備
 産業の空洞化への対応や地域経済の活性化を推進し、民間雇用の増大を図るため、国内製造業等による投資誘発効果が期待される多目的ターミナルについて、生産拠点の再編・集約、新たな産業立地、船舶の大型化等に対応しつつ拠点的な整備を行い、輸送拠点の形成を図っている。

 

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