第II部 国土交通行政の動向 

コラム・事例 2002年の世界の洪水

 2002年8月、ドイツ、チェコを中心としてヨーロッパは記録的洪水にみまわれました。ヨーロッパ中央部を南から北へ流れるエルベ川が増水し、チェコでは首都プラハで約7万人、全土で約20万人の人々が避難しました。所によっては3m以上も浸水し、ユネスコに世界遺産と指定された歴史地区にも被害が生じ、プラハ市内の地下鉄は浸水被害からの復旧に半年以上かかりました。また、増水した河川から下水道へ逆流し下水処理場が機能しなくなり、復旧までに約3カ月かかりました。通話が集中し電話が一時繋がらなくなった他、道路、電気、水道、ガスなどのインフラに被害が生じ、電気の復旧に2〜3週間かかった地域もありました。
 ドイツでは、この洪水による被害額は直接的なものだけで92億ユーロ(約1兆1,800億円)にのぼり、その復興対策のため、一般からの募金等に加えて、予定していた個人所得減税の延期や法人税の引き上げを行うなどマクロ経済にも大きな影響を与えています。ヨーロッパ全土では死亡者が100人以上にのぼりました。
 また、2002年にはヨーロッパ以外にも、中国では各地で発生した洪水により1,500人以上が死亡し、韓国でも台風15号により死者行方不明者246名、約5兆1,500億ウォン(約5,200億円)の被害が生じています。
 このように頻発する世界の洪水被害の軽減に向けて、我が国では「国際洪水ネットワーク(IFNet)」の構築を世界各国に呼びかけており、2002年3月にはその活動が開始されます。
 
ブルタバ(モルダウ)川が氾濫したプラハの街


 
チェコ南部を襲った洪水で押し流される車



資料)写真はともに共同=ロイターより。

 

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