(3)適切な競争を確保するための方策  以上に述べたように、交通運輸分野における市場原理の導入は、交通サービスの向上等をもたらしているが、引き続き、このような規制緩和の効果を十分に引き出していくためには、事業者の市場環境を整備することにより、適切な競争を確保するための措置を講じていくとともに、市場原理の活用のみでは対応できない諸課題を解決していくための取組みを行っていくことが不可欠となっている。  このため、国土交通省では、1)大手事業者と対等な競争を行うために必要となる社会資本を新規参入事業者に有利に配分を行う等による公平な競争条件の整備、2)創造的な新規ビジネスを育てるために必要な規制の改正や膨大な費用を要するため民間事業者で行うことが困難な基礎研究を行うこと等による新しいサービスの創出支援、3)港湾や空港等主として交通事業者が利用する基盤の整備等に取り組むことにより、交通運輸分野における市場環境の整備を図っている。  また、規制緩和による競争の促進を図る場合において、1)安全の確保、2)環境に優しい交通の実現、3)混雑の緩和や生活交通の維持等地域における円滑な交通の確保、4)バリアフリー対策をはじめとする少子・高齢社会への対応、5)総合的な交通ネットワークの形成に必要な異なる交通機関間の連携・調整、6)独占的市場の形成や情報の不平等等からの消費者利益の保護等市場原理の活用のみでは対応できない課題が存在していることから、国や地方公共団体が民間事業者と連携して、所要の助成措置や新たな基準の設定等必要な措置を講じつつ、これらの課題への対応を図っているところである。 図表II-1-3-9 21世紀型交通政策における行政の役割