第I部 活き活きとした地域づくりと企業活動に向けた多彩な取組みと国土交通施策の展開 

(ハードとソフトの連携)

 地域づくりにおいては、施設整備などのハード面での取組みと、それを活用したソフト面の取組みの連携も欠かせない。例えば、伝統的建築物の保存・修復、電線類の地中化、舗装の変更等と合わせた景観保全のための協定の締結やボランティアガイド等の取組み、下水道整備や導水、護岸整備等による清流の回復と合わせた遊覧船の就航等の取組み、港湾の自然と景観を生かしたウォーター・フロントの再開発事業による海洋環境・自然科学体験施設の整備等と合わせた対岸港との連携による観光振興の取組みなどの事例がある。

 
<ボランティアガイド>



 ハード面の取組みにおいては、ソフトを活かし、十分な効果を発揮するよう、地域の魅力を演出するための色彩、意匠、照明、周辺を含めた空間形成への配慮などが求められる。整備に際しては、成果(アウトカム)重視を徹底するとともに、住民や民間による提案を受けるような仕組みを併せて推進していくことも有効であると考えられる。
 また、歴史的な街並み保存の取組みとともに都市計画道路の拡幅計画を見直し、現道幅員で整備することとした事例も見られる。必要な場合には、代替的な手段を講じること等により、本来の目的となる機能を維持しつつ、地域の状況に応じた計画の変更を検討していくことも必要である。
 ハード面の整備が先行し、それを活用するためのソフト面での取組みが追従した例も見られるが、今後は、民間によるイベント開催の企画に対応した会場となる施設や駐車場の整備など、民間によるソフト面での取組みと時機を合わせ、その効果を十分に発揮できるような行政のハード整備による支援といった形での連携が、行政投資の効果的・効率的な実施という点からもより重要となる。また、一度整備された施設は長期間にわたって利用されることから、その整備効果が長期的に持続する施設となるよう留意することが必要である。

 

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