第II部 国土交通行政の動向 

3.観光の現状と課題

(1)国際観光

 平成14年の日本人海外旅行者数は1,652万人(前年比1.9%増)となり、米国同時多発テロの影響で過去最大の減少幅を記録した前年から、わずかながら増加した。しかし、15年は日本人の主要渡航先であるアジア地域で重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生した影響等により3月以降海外旅行の手控えが進み、5月には前年同月比で55.6%減となるなど大幅な減少を記録している。

 
図表II-2-1-3 日本人海外旅行者数、訪日外国人旅行者数の推移

日本人の海外旅行者数は、昭和60年に約466万人であったが、平成14年には約4倍の1652万人に大幅に増加している。一方、日本に訪れる外国人旅行者数は、昭和60年に約233万人であったが、平成14年には増加はするものの約2.5倍の524万人にとどまっている。
Excel形式のファイルはこちら


 一方、平成14年の訪日外国人旅行者数は、日韓共催の2002年ワールドカップ・サッカー大会が開催されたこともあり、韓国から127万人(前年比12.2%増)と順調な伸びを示すなど、全体で524万人(前年比9.8%増)と過去最高を記録した。15年はSARSの影響から、5月には前年同月比34.2%減となるなど大幅な対前年減を記録したが、SARSの終息に伴い、またビジット・ジャパン・キャンペーンの効果などから8月以降は急速に回復した。
 我が国の国際観光のバランスをみると、訪日外国人旅行者数は依然として日本人海外旅行者数の3分の1、世界では第33位と低位にとどまっている。このため、このようなアンバランスを早期に是正し、また、国際的な相互理解を深めるためにも、今後とも外国人旅行者の訪日促進施策を戦略的に推進していく必要がある。

 
図表II-2-1-4 国際観光の動向

2002年の訪日外国人旅行者数は、日本人海外旅行者数の3分の1以下であり、国際旅行収支は、約2.9兆円の赤字という片方向の交流となっている。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む