第II部 国土交通行政の動向 

第4節 物流におけるセキュリティと効率化の両立

 米国同時多発テロ以降、先進諸外国や国際機関において、犯罪やテロに強い国際社会の実現に向けた取組みが進められているが、世界経済の発展に欠かすことのできない国際物流においても積極的な取組みが行われている。特に、現在の国際物流の主役を担うコンテナ貨物については、輸出入検査を行う際、中身を直接確認できる数量に限りがあることから、犯罪やテロに使用されるような危険物や麻薬等の違法な貨物が一般貨物に紛れて運搬される危険性が指摘されている。
 このような状況の下、先進諸外国や国際機関では、コンテナ貨物を中心とした国際物流のセキュリティ(注1)強化のため、様々な検討及び措置が行われている。
 米国においては、1)同国向けコンテナ貨物輸出が多い貿易相手国との税関職員相互派遣(CSI)(注2)、2)国土安全保障省が示す貨物輸送安全強化基準遵守について、適切な取組みを行う事業者に対する利便性向上(C-TPAT)、3)物流セキュリティに関する実証実験支援制度(OSC)等の取組みを行っており、また、国際海事機構(IMO)においてFAL条約(注3)の改正が検討されている。
 このような動向を踏まえ、物流セキュリティの強化と物流効率化の両立を目標として、平成16年度においては、民間の潜在力を最大限に引き出すための制度改革、規制改革等の施策と予算の組合せによる「政策群」という手法を活用し、関係省庁と密接な連携を図りながら、FAL条約による国際標準を考慮した港湾関連手続の簡素化やワンストップサービスの一層の推進、及び効果的に物流セキュリティを強化するための施策を推進することとしている。


(注)1 貨物の流れに関する不正行為を防止するための措置全般
  2 我が国においては、平成15年3月より横浜港に米国税関職員が配置され、試験的に実施中であり、今後、東京港、名古屋港、神戸港等に拡大が予定されている。
  3 船舶の入出港に付随する手続き等の国際標準を定めることで、国際海運に関する手続きの簡素化・迅速化を図ることを目的とする条約

 

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