第II部 国土交通行政の動向 

2.静脈物流システムの構築

(1)静脈物流ネットワークの形成

 廃棄物処理をめぐっては、近年、最終処分場の残余容量のひっ迫等依然として厳しい状況にあること等から早急な対策が課題となっている。その解決策の一つとして、合理的な廃棄物・リサイクル材の循環システムを構築することが必要であるとともに、循環資源を収集・運搬する静脈物流システムの効率化を図ることが重要であり、大気汚染防止・地球温暖化対策、交通の円滑化等の観点も踏まえて、循環型社会に対応した環境負荷の小さい物流体系を構築する必要がある。そのような物流体系の構築にあたっては、柔軟な輸送能力を有するトラックによるフィーダー輸送とも適切に組み合わせつつ、海上輸送、鉄道、河川舟運によるネットワークの形成を図るとともに、トラック輸送による環境負荷を軽減するため、トラック輸送の低公害化・効率化と合わせて、貨物駅、港湾、積替・保管施設へのアクセス道路、それらの近傍におけるヤード整備等を推進していく必要がある。
 国土交通省においては、大都市圏において廃棄物等の発生抑制(Reduce)、再使用(Reuse)、再生利用(Recycle)を進め、資源循環の「環」を形成するため、大都市圏におけるゴミゼロ型都市への再構築が都市再生プロジェクトとして位置付けられたことを踏まえ、関係自治体、関係省庁とも連携して、リサイクル施設の計画段階から多岐にわたる関係者間の調整を進め、環境負荷の低減を考慮した静脈物流システムの構築について検討することとした。具体的には、平成14年度は首都圏における鉄道等を活用した物流システムのパターンについて検討し、それを実現するための政策について制度面・運用面の双方から検討した。それを踏まえ、15年度は京阪神圏における鉄道、海運及びトラック共同輸送などを活用した環境負荷低減型静脈物流システムのあり方及びその実現に向けて検討している。
 さらに、港湾においては、広域的なリサイクル施設の立地に対応した静脈物流の拠点となる港湾を「総合静脈物流拠点港(リサイクルポート)」(全国18港)に指定し、循環資源の取扱いに関するガイドラインの作成、官民連携の推進、静脈物流施設の整備、技術開発の推進等の総合的な支援策を講じている。

 
図表II-8-1-3 総合的な静脈物流拠点

石狩湾新港、苫小牧港、室蘭港、八戸港、釜石港、酒田港、東京港、川崎港、木更津港、姫川港、三河港、神戸港、姫路港、徳山下松港、宇部港、北九州港、三池港がリサイクルポートとして指定されている。
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