第II部 国土交通行政の動向 

第1節 国際的な連携・協調メカニズムの構築とイニシアティブの発揮

(1)東アジア地域における連携強化

 我が国では政府全体として東アジア地域との連携強化に取り組んでいる。ここ最近の取組みとしては、2003年(平成15年)10月の日・ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議において、2012年(平成24年)までのできるだけ早い時期に小泉内閣総理大臣が提唱した日・ASEAN包括的経済連携を実現することを内容とする、日・ASEAN経済連携の「枠組み」が決定された。さらに2003年(平成15年)12月の日・ASEAN特別首脳会議においては、将来の日・ASEAN関係の指針となる、「東京宣言」と、具体的な施策を盛り込んだ「行動計画」が取りまとめられた。また二国間の取組みについては、韓国、タイ、フィリピン、マレーシアとの経済連携協定締結に向け政府間交渉を開始した。
 交通分野において、交通は経済活動に必要不可欠な要素であるとの観点からASEANとの連携の強化に取り組んでおり、2003年(平成15年)10月にミャンマーにおいて「第1回日・ASEAN交通大臣会合」を開催した。この会合では、日本とASEANの交通連携における基本的な枠組みについて合意するとともに、国際物流の円滑化、海上安全対策の強化、最新技術の応用による環境及び安全確保等の具体的な協力プロジェクトを採択した。今後はASEAN諸国と共同でこれらの協力プロジェクトを推進していく。
 建設分野については、現在行われているタイ、フィリピン等との自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)交渉においても、政府調達や建設業への規制について議論がなされているほか、タイなどが高い関心を示す「電子入札コアシステム」の導入への協力の可能性を検討している。
 また、2002年(平成14年)4月に開催された第1回運輸政策推進会議(POINT:Policy Initiative in Transport)において、日本、インドネシア、タイ、フィリピンで取りまとめた「2002年環境にやさしい都市交通に関するバンコク・イニシアティブ」に基づき、CDM(京都議定書に基づくクリーン開発メカニズム)推進支援事業を通じた温室効果ガスの現況把握、自動車検査等に係る研修の拡充、各国の都市鉄道整備を推進するための共同調査等を実施しており、今後とも着実に各国が協調して取組みを進めていくこととしている。
 2003年(平成15年)12月には、マレーシア国プトラジャヤにおいて、我が国を含む東アジア12ヶ国の参加を得て、PEMSEA(Partnerships in Environmental Management for the Sea of East Asia:東アジア環境海域管理パートナーシップ)閣僚級会合が開催され、「東アジア海域の持続可能な開発戦略(SDS-SEA)」及び「東アジア海域の持続可能な開発の地域協力に係るプトラジャヤ宣言」が採択された。

 

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