(市場機能の活用)  活き活きとした地域づくりと企業活動に向けた取組みを進めるためには、民間の創意工夫やノウハウを十分に発揮できるよう市場環境を整備しつつ、市場機能を活用した施策の展開を図ることが有効である。  このため、企業の技術・商品・サービス開発について、例えば、低公害車の開発・普及における自動車グリーン税制、補助、排ガス規制のように、税制、補助金、規制など行政の各種施策を総合的に活用し、企業の積極的な開発への動機付けとなるよう措置するとともに、環境への影響等の社会的費用の低減につながる技術や商品などを行政が率先的に使用すること等により、市場機能を通じた促進を図ることが必要である。また、低減される社会的費用を評価した公共調達方式の構築についてもより一層の検討が求められる。 <燃料電池自動車の道路維持管理車両への試験的導入>  交通政策においては、原則的に需給調整規制等の各種規制を緩和・廃止し、市場原理及び自己責任原則の導入を図ることにより、交通事業者等の創意工夫及び公平かつ自由な競争を通じた事業活動の活性化・効率化を推進し、経済社会の活性化を図っている。今後とも、規制緩和にあわせて強化した事業監査や利用者への情報提供を適切に行うとともに、安全や環境に対する必要十分なルール設定、適正な競争を行う上で障壁が存在する業種についての新規事業者への優遇策の実施など適正な競争が行われるための条件整備を積極的に進めていく必要がある。また、航空や海運をはじめとして国際な競争が行われる分野については、二国間協議や多国間協議を通じて国際的な競争条件を整えていく必要がある。  社会資本整備においても、PFIなど民間の資金と能力を活用する方式を積極的に採用するとともに、総合評価方式など企業の技術力による競争を推進していく必要がある。  建設産業については、不良・不適格業者の排除の徹底や、経営の効率化、成長分野への進出、事業転換等の経営革新の促進など、市場を通じて技術と経営に優れた企業が伸びていくことができる環境の整備を図っていく。また、自由で公正な海外建設市場の形成に向けた取組みを進める必要がある。  さらに、土地や中古住宅、ビルなどの不動産市場を公正で透明な消費者が安心できる市場として整備し、活性化していくため、不動産証券化の推進や住宅の品質確保の促進等に取り組んできており、今後は、一層の土地情報基盤の整備や中古住宅に係る住宅性能表示制度の普及等を進めるほか、地域づくりへの民間資金の導入や継続的な地域への投資を確保するための環境整備に向けた政策的対応を検討していくことが望まれる。