5.各国との連携による危機管理・安全保障対策 (1)海賊対策  世界における海賊事件の発生件数は、近年増加傾向にあり、特に東南アジア周辺海域での発生が目立っている。また、海賊の凶悪化・組織化も問題となっており、海上輸送路をマラッカ海峡を含む東南アジア周辺海域に大きく依存している我が国海運業界にとって深刻な脅威となっている。このような海賊行為に対処するため、平成12年4月に開催された海賊対策国際会議において採択された「アジア海賊対策チャレンジ2000」に基づき、15年3月には、海上保安庁の積極的支援により、アジアの16ヶ国・地域の海上警備機関及びIMO(国際海事機関)、IMB(国際海事局)が参加する海賊対策専門家会合がフィリピンで開催された。本会合において新たに、乗船研修の実施、多国間連携訓練の実施等が合意され、15年7月、マレーシアにおいて、海上警備機関職員を対象とした乗船研修を初めて実施した。このほか、継続して実施している東南アジア周辺海域国への巡視船等の派遣による海賊対策連携訓練、公海上のしょう戒活動を行った。また、マレーシア及びインドネシア沿岸警備隊の創設のための各種協力、海上保安大学校への留学生の受け入れ、海上警備機関職員を招へいしての海上犯罪取締り研修の開催などを実施し、各国との連携・協力に努めている。さらに、15年12月に東京で開催された「日・ASEAN海事セキュリティ・海賊セミナー」においても、日本及びASEAN各国の海事政策当局間等で海賊対策について協議し、今後推進すべき施策の検討等を行っている。  さらに、日本関係船舶における効果的な自主警備対策の推進、沿岸国の緊急通報先の周知、緊急情報伝達体制の整備を図っているほか、関係省庁及び民間関係者からなる連絡会議の開催を通じ、我が国全体としての取組みを一体的に推進している。 図表II-4-1-2 日本関係船舶にかかる海賊及び船舶に対する武装強盗事件等発生地点(1994年〜2002年) 図表II-4-1-3 最近の海賊及び船舶に対する武装強盗事件等の発生状況