第4節 多国間・二国間交渉等を通じた取組み 1.多国間交渉・フォーラムを通じた取組み (1)WTO(世界貿易機関)への対応  世界の多角的貿易体制を発展させるために発足したWTOはモノの分野の自由化だけでなく、交通・観光・建設関連サービスを含むサービス分野をも対象としている。2001(平成13)年11月の第4回閣僚会議(カタール、ドーハ)で交渉期限を約3年(2005年(平成17年)1月1日)とする新たな多角的貿易交渉の開始が合意され、これ以前より交渉を開始していたサービス分野についても新ラウンドの一部として位置付けられた。2003年(平成15年)9月の第5回閣僚会議(メキシコ、カンクン)では、閣僚会議文書案に合意が得られなかったが、今後も多角的貿易体制の維持・発展のため交渉の一層の進展が期待される。  特に、海運サービスについては、世界貿易促進のためには自由かつ公正な海運市場の全世界的な形成が不可欠であり、我が国は海運交渉成功に向けて海運関心国会合を開催する等先導的な役割を果たしてきている。その他、観光サービス分野等においても交渉を通じたサービス貿易自由化の拡大に向けて努力しているところである。  建設分野については、我が国は大幅な自由化を既に実施済みであるが、新ラウンド交渉においては、各加盟国の建設市場の自由化の促進等を目的に交渉を展開している。また、公共事業を含む政府調達について手続の透明性の確保と市場参入の拡大を図ることを目的とした政府調達協定(GPA)について現在、協定見直しに向けた交渉を行っている。