第II部 国土交通行政の動向 

(3)物流分野における環境施策の推進

 現在、国内物流における輸送機関分担率(輸送トンキロベース)では自動車が最大であり、50%を超えている。しかしながら、トラックのCO2排出原単位は、大量輸送機関である鉄道、内航海運に比して大きく、貨物と旅客をあわせた運輸部門における輸送機関別CO2排出割合においても、鉄道、内航海運が全体の数%であるのに対し、トラックは営業用・自家用ともに15%を超えるなど排出量が比較的多い。国内物流を支え、かつ、CO2の排出を抑制するためには、トラック単体の低燃費化や輸送効率の向上と併せて、輸送効率性にも配慮しつつ、トラックの自営転換を含め、鉄道、内航海運等のエネルギー消費効率の良い輸送機関の活用を図ることが必要である。

 
図表II-7-1-4 貨物輸送機関のCO2排出原単位(平成14年度)

貨物輸送機関について1トンの荷物を1キロメートル運ぶのに排出する二酸化炭素の量は、自家用小型車が3,443グラムで最高値であり、鉄道が22グラムと最も少ない値となっている。
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 このため、国土交通省では、平成16年6月にモーダルシフト促進に向けた平成16年度アクションプログラムを策定し、鉄道及び内航海運の抱えるボトルネックの解消や荷主と物流事業者の連携の強化による物流のグリーン化等を推進している。
 具体的には、鉄道においては、山陽線の輸送力増強事業の推進や、E&S式荷役駅の整備等により利便性向上を図っている。内航海運においては、次世代内航船(スーパーエコシップ)の開発、複合一貫輸送に対応した内貿ターミナルの拠点的整備、RORO船等の建造促進等を行っている。
 また、荷主・物流事業者のモーダルシフト等に対する意識の向上を促すため、環境負荷の小さい物流体系の構築を目指す実証実験として、鉄道・海運へのモーダルシフトやトラック輸送の共同化といった、幹線物流における環境負荷低減に資する取組みを行う事業者に対し、費用の一部を補助する制度を実施している。平成16年度においては、上海から外航船で輸入される家電製品の国内輸送をトラック利用から鉄道利用に転換する事業や、複数荷主による関東−関西間の鋼鉄製品の幹線輸送についてトラックの大型化により共同輸送化を図る事業等を支援した。

 
図表II-7-1-5 環境負荷の小さい物流体系の構築を目指す実証実験

荷主や物流事業者等の関係者が共同して取り組む実証実験について支援している。それには、幹線輸送において、トラックから鉄道・海運に転換するパターン、低公害車で共同輸送するパターン、新技術により環境負荷を低減させるパターンがある。

 これらの取組みに加え、荷主と物流事業者の協働による総合的な温暖化対策が実施される環境づくりを進めるため、平成16年12月にグリーン物流パートナーシップ会議を発足させ、経済産業省、荷主団体、物流団体などの広範な参加を得て、裾野の広い展開を図っている。このほか、物流の効率化を図るため、車両の大型化やこれに伴う橋梁の補強を行うとともに、国際海上コンテナターミナルの整備及び多目的国際ターミナルの拠点的整備を推進し、CO2の削減に取り組んでいる。

 
図表II-7-1-6 グリーン物流パートナーシップの推進

荷主と物流事業者の協同による総合的な温暖化対策が実施される環境づくりを進めるため、グリーン物流パートナーシップ会議を立ち上げ関係団体等の幅広い参加のもと、さまざな取組みを行っている。

 

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