第II部 国土交通行政の動向 

4 ヒートアイランド対策

 近年、郊外と比較して、都市の中心部における顕著な高温化が都市の環境問題の一つとして大きく注目されている。このヒートアイランド現象は、空調機器等からの人工排熱の増加、緑地・水面の減少や地表面の人工化等が主な原因と言われている。

 
図表II-7-6-1 東京(大手町)と中小都市の年平均気温の経年変化(5年移動平均)

年平均気温と1971年から2000年の30年間を平均した平年値との差である平年差は、東京の大手町では、長期変化傾向として1900年がマイナス2.5度で2000年が0.4度となっているのに対し、中小都市の平均では、1900年がマイナス0.9度で2000年が0.2度となっており、東京の変化が大きくなっている。
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 こうした状況から、総合的、効果的なヒートアイランド対策を推進するため、関係府省連絡会議において、平成16年3月にヒートアイランド対策大綱を策定した。同大綱は、ヒートアイランド対策に関する国、地方公共団体、事業者、住民等の取組みを適切に推進するための基本方針を示すとともに、人工排熱の低減、地表面被覆の改善、都市形態の改善、ライフスタイルの改善の4つの目標を掲げて、関係省庁の具体的な対策を体系的にとりまとめたものである。
 国土交通省においては、大綱に盛り込まれた以下の具体的対策を重点的に推進している。

・住宅・建築物における省エネルギーや屋上緑化等の推進
・都市公園の整備、民有地での屋上・壁面緑化等、市街地における緑とオープンスペースの機動的確保
・水面積の拡大や雨水の貯留・浸透、下水処理水の路面散水、循環水の活用による都市廃熱の区域外処理システムの検討等の実施
・緑の拠点の形成、公園、河川、道路、下水道等の連携により、広域的視点に基づく水と緑のネットワークの形成を推進
・ヒートアイランド現象の観測・監視体制の強化
・数値シミュレーション(計算による実験)により、緑地保全・緑化等によるヒートアイランド現象緩和効果について検討
・ヒートアイランド現象緩和のための建築設計ガイドラインの策定

 
図表II-7-6-2 ヒートアイランド対策

都市のヒートアイランド現象を解消するため、気象データの分析やヒートアイランド予測モデルの作成等の調査・研究から、緑とオープンスペースの機動的確保や水の蒸発散機能の活用などの具体的事業、また、モデル事業等による誘導施策や実験プロジェクトを行い、広域的な水と緑のネットワークの形成や東京・大阪等での関連施策の集中実施を行う。

 

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