第II部 国土交通行政の動向 

第1節 国際的な連携・協調メカニズムの構築とイニシアティブの発揮

(1)東アジア地域における連携強化

 我が国では政府全体として東アジア地域との連携強化に取り組んでいる。2004年(平成16年)11月の日・ASEAN首脳会議では、「国際テロリズムとの闘いにおける協力に関する日・ASEAN共同宣言」が採択されたほか、2005年(平成17年)4月に日本・ASEAN包括的経済連携協定の交渉を開始することで合意した。二国間では、フィリピン、タイ、マレーシア、韓国との経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)締結に向け政府間交渉を行っている。
 交通分野においては、2004年(平成16年)11月にカンボジアにおいて第2回日・ASEAN交通大臣会合を開催した。この会合では、前回採択した日・ASEAN交通連携の基本枠組みに基づく国際物流の円滑化、海上安全対策の強化、最新技術の活用による環境及び安全確保等の具体的な協力プロジェクトについて、この1年間の着実な進展を確認するとともに、航空セキュリティの強化、公共交通における代替燃料の利用促進及び交通分野における基礎的統計データの共有化などの新たなプロジェクトを採択し、今後ともASEAN諸国との交通連携を推進していくこととした。また、2004年(平成16年)3月に第3回日韓運輸ハイレベル協議、同年4月に第1回日中運輸ハイレベル協議を開催し、日韓間及び日中間の物流の円滑化等について意見交換を行った。特に、物流分野については、日中韓にASEAN諸国を加えた東アジア全体の物流圏の重要性と方向性を確認するために物流に関する東アジア交通大臣会合(仮称)の開催を目指している。
 建設分野では、タイ、マレーシアとのEPA締結交渉等において、相手国における内外差別的な建設業規制の見直しや相手国の政府調達市場の開放などを求めている。フィリピンとの間では、EPAの大筋合意を機会に、建設業に係る官民合同会議を開催することとなった。
 海洋環境管理については、東アジア12ヶ国による東アジア海域環境管理パートナーシップ(PEMSEA)に参画しており、東アジア海域の持続可能な開発戦略(SDS-SEA)の実施に向けた取組みを進めている。また、日本海及び黄海の海洋環境の保全を目的とした日本・中国・韓国・ロシア間の行動計画である北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)に基づいた取組みを推進しており、本部事務局が2004年(平成16年)12月には富山に、2005年(平成17年)1月には釜山(韓国)に、国連機関としてそれぞれ開設された。

 

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