(東アジア諸国・地域及び日本の運輸関連産業)  東アジア諸国・地域の運輸関連産業について見ると、まず、物流事業者(フォワーダー(注1)・インテグレーター(注2))については、日本企業は主要企業の一角を占めているが、東アジア諸国・地域の企業は主要企業に含まれておらず、日本企業の競争力が東アジア諸国・地域の企業と比較してなお保たれている分野と言える。また、東アジア諸国・地域における物流が増大する中で、日本の物流事業者が中国等に展開する事例も見られる。 図表I-2-2-6 世界の主要フォワーダ・インテグレーター 図表I-2-2-7 世界の造船会社上位20社  しかし、他の運輸関連産業について見ると東アジア諸国・地域の企業の競争力が増しつつある分野もある。  例えば、造船における企業ランキングでは、上位20社は全て東アジア諸国・地域及び日本の企業であり、その半数以上が日本の企業により占められているが、一部の東アジア諸国・地域の企業が日本企業よりも上位となっている。  また、海運、航空における企業ランキングでは、東アジア諸国・地域の企業の一部が世界の主要企業の一角を占め、かつ日本企業よりも上位となっている。 図表I-2-2-8 東アジア諸国・地域と日本のコンテナ船運航船腹量上位15社(2003年12月31日現在) 図表I-2-2-9 東アジア諸国・地域と日本の航空会社上位10社(2003年)  このように競争が激しくなる中で、日本企業が東アジア諸国・地域の企業や欧米企業と提携する事例(アライアンス)も見られる。 図表I-2-2-10 基幹航路の三大アライアンス(2003年12月現在) 図表I-2-2-11 世界の航空会社のアライアンス(2005年2月)  また、ホテル業等、東アジア諸国・地域の資本の企業が日本に展開する例も見受けられる。  このように、東アジア諸国・地域の運輸関連企業の競争力が増している中で、日本の運輸関連企業が競争力を維持していくためには、海外における参入障壁や国内における高コスト構造の改善等、制度面での環境整備が必要となる。 (注1)荷主の依頼を受けて、他の運送業者の運送手段を使って貨物の運送を引き受けることを業とする者 (注2)フォワーダーと航空会社の機能を兼ね備え、ドア・ツー・ドアの輸送サービスを提供する航空貨物運送業者