災害に強い国づくりをめざして  我が国は、ユーラシア大陸と太平洋に挟まれた火山帯に位置し、地形、地質、気象、地理的に極めて厳しい条件下にある。このような位置、地勢等にある国土には、約1億2,800万人の人々が高密度に居住しており、我が国の災害は、1)洪水、土砂災害、地震、噴火、雪害、高潮、津波等自然災害の種類が多様である、2)繰り返して発生し、しかも発生回数が多い、3)全国各地で発生の可能性がある、といった特性を有している。  我々の祖先は、こうした国土の条件の下、人と自然とのかかわりの長い歴史の中で、自然災害との付き合い方、いわば「災害文化」とでも言うべきものを形成してきた。それは、例えば言い伝え、ことわざ、地名、伝統工法等として伝えられ、日常生活の行動規範の一部となり、生活の知恵として生かされてきた。しかしながら、近年における急激な都市化の進展やいわゆる異常気象等に伴い、災害の態様も変化し、人と災害とのかかわりを改めて見つめ直す必要が生じている。  平成16年は、これまで最多となる年間10個の台風の上陸などによる度重なる豪雨の発生や、10月の新潟県中越地震により、全国各地に大きな被害が発生した。さらに、12月にはスマトラ島沖大規模地震及びこれに伴う津波が発生し、インド洋沿岸国に大きな被害をもたらした。平成17年は、阪神・淡路大震災の発生から10年目という節目の年であり、昨今の大規模災害の発生とあいまって、国民の間に災害に対する関心が高まっている。  このような状況を踏まえ、本白書では、冒頭において、平成16年に発生した大規模な災害や被災地の復旧状況、それらを踏まえた新たな対策について述べることとする。 図表1 平成16年の自然災害発生状況 図表2 過去50年の我が国の主な自然災害の状況