第I部 安全・安心社会の確立に向けた国土交通行政の展開 

2 地域コミュニティに関する新たな動き

 従来型地域コミュニティが衰退する一方で、NPOやボランティア等による活動が盛んになりつつある。
 近年では、個人志向の人よりも社会志向の人が増加傾向にあり、社会の一員として何か社会のために役立ちたいと考えている人の割合は全体の6割程度を維持している。さらに、社会貢献したい内容を見ると、町内会、社会福祉活動、自然・環境保護活動とともに、自主防災活動や災害救助活動等災害に関する活動が上位を占めており、回答比率も年々増加傾向にある。

 
図表I-2-2-11 社会への貢献意識の推移

社会への貢献意識の推移を見ると、思っているは、1980年が45.3%、1985年が47.4%、1990年が54.1%、1995年が62.3%、2000年が60.7%、2005年が59.1%である一方、あまり考えていないが、1980年が47.4%、1985年が44.3%、1990年が41.0%、1995年が33.6%、2000年が36.3%、2005年が36.7%である。また、社会のために役立ちたい活動として、自主防災活動や災害援助活動を挙げた比率の推移を見ると、1998年が14.8%、2000年が15.9%、2002年が16.6%、2004年が17.1%、2005年が23.4%である。
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(被災時のノウハウを活用した支援活動の展開)
 近年盛んになりつつある住民主体のNPOやボランティア等による活動を通じて、地域の防災力を向上するのみならず、遠隔の被災地まで赴き、自らが被災した際の経験等を活用しつつ支援を行ったり、ノウハウを提供したりするといった試みが行われている。
 例えば、神戸市では、平成16年の台風第23号や新潟県中越地震の被災地を支援するために「平成16年度パートナーシップ活動助成緊急募集」を実施し、被災地に赴くボランティアのコーディネート、被災地でのニーズ把握や具体的な支援活動を行う団体に対し、交通費を支給する施策を行った。
 こうした被災経験・ノウハウを活用した住民による活動は、災害復旧支援の貴重な担い手として認識されるようになっている。

(「団塊の世代」への期待)
 高齢化に伴う地域コミュニティの衰退が懸念される一方で、中・高年層ほど地域コミュニティへの参加意欲が強い傾向にある。また、地域コミュニティに参加しない主要な理由の一つとして「活動する時間がとれない」ことが指摘されている。
 以上のことから、いわゆる「団塊の世代」層の人々が、間もなく定年を迎えて時間にゆとりができるようになれば、今後の地域コミュニティの新たな担い手として活躍することが期待できる。

 
図表I-2-2-12 年代別の地域コミュニティへの参加意欲

地域コミュニティへの参加意欲を年代別に見ると、15歳から34歳までは、現在、積極的に参加しているが3.8%、現在、お付き合い程度で参加しているが17.6%、過去に参加したことがあり、また参加したいが7.9%、これまで参加したことはないが、今後は是非参加したいが2.4%、これまで参加したことはないが、機会があれば参加したいが27.4%、過去に参加したことがあるが、もう参加したくないが9.1%、これまで参加したことはなく、今後も参加したいとは思わないが31.9%である。35歳から49歳までは、、現在、積極的に参加しているが8.9%、現在、お付き合い程度で参加しているが37.4%、過去に参加したことがあり、また参加したいが5.6%、これまで参加したことはないが、今後は是非参加したいが1.9%、これまで参加したことはないが、機会があれば参加したいが16.9%、過去に参加したことがあるが、もう参加したくないが10.0%、これまで参加したことはなく、今後も参加したいとは思わないが19.3%である。50歳以上は、、現在、積極的に参加しているが13.6%、現在、お付き合い程度で参加しているが45.1%、過去に参加したことがあり、また参加したいが8.6%、これまで参加したことはないが、今後は是非参加したいが1.6%、これまで参加したことはないが、機会があれば参加したいが13.6%、過去に参加したことがあるが、もう参加したくないが7.8%、これまで参加したことはなく、今後も参加したいとは思わないが9.6%である。
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