第II部 国土交通行政の動向 

1 ユビキタス技術を活用した場所情報システムの展開

 少子高齢化等を踏まえ、すべての人々が持てる力を出し、社会参画や就労を行うユニバーサル社会の実現には、移動経路、交通手段、目的地等の情報について「いつでも、どこでも、だれでも」利用できるユビキタスな環境(注1)の構築が必要である。
 そのため、我が国の先進的なユビキタス・ネットワーク技術を活用し、案内板、標識、誘導ブロック等に固有の場所情報を発信する電子タグ(注2)や通信機器を設置することにより、利用者が携帯する端末機器との間で通信を行い、文字、音声、多言語による移動経路等の情報を提供する「自律移動支援プロジェクト」を、産・官・学・市民の連携・協力の下、平成16年度から推進している。17年度は、技術の高度化を図り、利用者の多様なニーズを反映しながら、自律移動支援システムの検討を行うため、神戸及び愛知万博において実証実験を行った。また、その成果を踏まえ、同システムに関する技術仕様を策定した。
 今後は、主体的に取り組む意志のある地方公共団体等との連携の下、安全面、維持管理面等の検証を行い、同システムの実用化に向けた取組みを行うこととしている。
 また、同システムの基盤であるユビキタス場所情報システムは、場所が自ら情報を発信するものであり、位置情報、地理情報等の様々な分野での活用が考えられるなど、汎用性・拡張性のあるシステムである。そのため、自律移動支援プロジェクトの成果を踏まえ、新たな社会基盤としてのユビキタス場所情報システムの多角的な活用に向け、産・官・学・市民と連携して検討を行うこととしている。

 
図表II-4-7-1 自律移動支援プロジェクト

我が国の先進的なユビキタス・ネットワーク技術を活用し、案内板、標識、誘導ブロック等に場所情報を発信するICタグや通信機器を設置し、利用者の携帯する端末機器との間で通信を行うシステムを構築するため、自律移動支援プロジェクトを推進している。平成17年度は、神戸及び愛知万博において、実証実験を行い、その成果を踏まえ、同システムに関する技術仕様を策定した。


(注1)ユビキタス(ubiquitous)とは、ラテン語で「至る所に存在する(遍在)」という意味を持ち、あらゆる情報機器が広帯域ネットワークで結ばれ、誰もがいつでもどこでも安全に情報をやりとりできる環境
(注2)ICチップとアンテナを内蔵したタグ。この中に個別の識別情報等を格納しておくことで、電波を利用し、接触することなく近接した距離において格納されたデータを読み書きすることが可能となる。

 

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