第II部 国土交通行政の動向 

(9)物流におけるセキュリティと効率化の両立

 現在の国際物流の主役を担うコンテナ貨物については、輸出入検査を行う際、中身を直接確認できる数量に限りがあることから、犯罪やテロに使用されるような危険物や麻薬等の違法な貨物が一般貨物に紛れて運搬される危険性が指摘されている。
 このような状況の下、先進諸外国や国際機関では、コンテナ貨物を中心とした国際物流のセキュリティ強化のため、様々な検討及び措置が行われており、米国においては、1)事前通報(24時間ルール(注1))の実施、2)同国が示す貨物輸送安全強化基準について、適切な取組みを行う事業者に対する利便性付与(C-TPAT)、3)同国向けコンテナ貨物輸出が多い貿易相手国との税関職員相互派遣(CSI)(注2)等の取組みが行われている。我が国においても、物流セキュリティ強化と物流効率化の両立を目標として、平成16年度より、7省庁及び21の関係団体が連携を図りつつ検討を行い、17年3月には、我が国が取り組むべき施策の基本方針として、「安全かつ効率的な国際物流の実現のための施策パッケージ」を取りまとめた。17年度は、施策の進捗状況を点検・評価するための推進協議会を設置し、物流事業者が取り組むべきセキュリティ対策のガイドライン等を策定するとともに、国際コンテナ物流の実運送現場においてITを活用したコンテナ管理体制の確立に向けた実証実験を実施した。


(注1)米国に貨物を輸出しようとする船会社は、外国港で船積みされる24時間前までに米国税関に対して積荷目録を提出することを義務付けたもの
(注2)我が国においては、平成15年3月から横浜港、16年5月から東京港、同年8月から名古屋港・神戸港において試験的に実施中

 

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