第II部 国土交通行政の動向 

(5)水環境改善に向けた下水道整備促進

 流域別下水道整備総合計画に基づき下水道整備を計画的に進めている。特に、閉鎖性水域の水質改善等に資する有機物・窒素・リン等を更に除去する高度処理の導入を推進しており、「下水道法」を改正して流域全体で効率的に高度処理を行う制度を導入した。また、合流式下水道の改善のため、下水道技術開発プロジェクト(SPIRIT 21)において、合流改善24技術を開発・実用化した。加えて、合流式下水道の改善対策を平成16年度から原則10年で実施するとともに、下水道管理者による計画放流水質の設定等水処理の高度化の取組みを進めている。
 一方、下水処理水は都市内の安定水源であり、処理水のせせらぎ用水等としての活用や、処理水を活用する水路の設置等により、都市内の良好な水辺空間の創出を図っている。また、下水道法施行令を改正し、処理水を下水道雨水渠等に活用する際の構造基準を新たに規定した。

 
図表II-7-4-4 流域全体で効率的に高度処理を行う制度のイメージ

閉鎖性水域では水質改善が進まなかったり、窒素やリンによるふ栄養化で赤潮発生回数が増加して、みず環境・生態系に影響を与えたりする。下水道の終末処理場を経由した窒素やリンの割合も高い。また、処理場施設の改築時期を迎えている大都市では高度処理に必要な用地の確保が困難だったり、普及促進を優先すべき中小都市では、処理費用が相対的に割高だったりする。そこで、流域別下水道整備総合計画に削減目標量を設定し、複数の終末処理場が高度処理を協力して行う手法を創設した。これにより、流域全体で高度処理を効率的に推進し、より早期に低コストで、公共用水域の水質改善が達成できる。

 

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