第II部 国土交通行政の動向 

コラム・事例 大和川の再生に向けて 〜大和川流域における「生活排水対策社会実験」の実施〜

 大和川(奈良県・大阪府)では、これまで流域の関係機関や住民が一体となって水環境改善に取り組んできた結果、平成16年には約40年ぶりに河川の水質指標であるBOD年平均値が5mg/l(環境基準値レベル)を下回るなど、水質は徐々に改善されつつあります。
 平成17年3月、水質汚濁の主な原因である生活排水の削減と流域住民への水環境改善の普及・啓発を目的に、全国初の試みとして、「生活排水対策社会実験」を行いました。この社会実験は、大和川流域の住民が一斉に家庭からの生活排水対策を実施し、その効果を把握しようというものです。
 社会実験には、流域内人口215万人のうち15%(約32万人)が参加し、本川8地点のBOD平均値は約7%改善されました(支川を含む全44地点でのBOD平均値はほとんど変化なし)。これらの結果は、河川の流量等にも左右されるため、効果については更に検証する必要がありますが、流域住民の取組み等により支川がきれいになれば、大和川本川もきれいになる可能性が示され、生活排水対策の必要性が再確認されました。
 流域の15%の人々が大和川の水環境に関心を持ち、自ら協働したことは大和川の再生に向けた力強い一歩であり、今後もこうした生活排水対策の普及・啓発活動を行っていきます。

 


 

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