第II部 国土交通行政の動向 

(3)環境・安全面での協力

 我が国は、環境面では、京都議定書に基づくクリーン開発メカニズム(CDM)の活用を促進するため、社会資本整備分野のCDM事業実施マニュアルの作成や海外でのセミナーの開催、さらに環境負荷の軽減策としてアジアの自動車分野の担当官に対する研修を実施している。
 安全面では、開発途上国の航空機事故対策として、アジア諸国の航空機事故調査レベル向上に向けた研修等の人材育成を支援している。また、開発途上国の保安担当官を対象に、港湾、海事、航空各分野のセキュリティに関する専門家会合や集団研修を行っているほか、インドネシアの主要空港・港湾に保安検査機器を無償供与している。さらに2005年(平成17年)にはマレーシア海上法令執行庁が設立されるなど、東南アジア諸国において、海上治安任務を遂行する海上法執行機関を設立する動きや、海上保安業務を一元的に遂行するための組織の創設を進める国もあり、海上保安庁として積極的に支援している。
 災害対策等への協力に関しては、我が国は、国際緊急救助隊として派遣される救助チーム、専門家チームに参加しているほか、被災地への政府調査団にも参加している。具体的には、スマトラ島沖大規模地震及びインド洋津波被害に係る国際緊急援助隊や政府調査団に参加し、パキスタン等大地震の際にも国際緊急援助隊に参加するとともに耐震設計等に関する専門家を派遣した。また、技術移転を目的として、河川、砂防、海岸、建築、海洋汚染、気象等の各分野においても各国で技術協力、個別専門家派遣及び研修を実施している。特に、老朽建築物が残るルーマニアでは、耐震補強の推進のため、プロジェクト方式の技術協力が行われており、2005年(平成17年)からは耐震改修指針の個別建物への適用可能性を検証している。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む