第II部 国土交通行政の動向 

(5)国際海事機関(IMO)、国際労働機関(ILO)への対応

 IMOは、海上の安全、保安、航行の能率及び海洋汚染の防止に関する政府間の協力や条約の作成等を行うことを目的とした機関である。我が国は世界有数の海運・造船国としてIMO設立以来連続して理事国の地位を占めており、最近では、任意によるIMO加盟国監査制度の創設、SUA条約(注1)の改正によるテロ対策の強化、目標指向の新造船構造基準(注2)の検討、バラスト水管理規制条約のガイドラインの策定等、同機関での議論に積極的に参加し、主導性を発揮している。
 特に、シップリサイクル(注3)に関しては、リサイクルヤードからの海洋汚染や労働安全衛生の問題解決のため、1)船舶の設計、建造、運航及びメンテナンスに関する要件、2)リサイクル施設に関する要件、3)これらを担保するための措置(証書発給、通報システム)の3分野から構成される新たな国際規制を2008年(平成20年)から2009年(平成21年)の間に採択することが合意されている。このため、国土交通省では、シップリサイクル検討委員会を設置し、検討を進めながら、IMOにおける議論に参加している。
 ILOにおいては、既存の船員関係諸条約等について、広く国際的に受け入れられるよう実効性を持たせつつ統合するための作業が進められてきた。我が国は、アジア太平洋地域をリードしつつ、条約策定会合の副議長国として積極的に貢献し、2006年(平成18年)2月に新条約が採択された。


(注1)海洋航行の安全に対する不法な行為の防止に関する条約
(注2)従来、各国、船級協会ごとに異なっていた船舶の構造基準について、ある一定の目標を定め、国際的に合意された要件を設定していくこと
(注3)船舶の解撤:寿命に達した船舶は、解体され、その大部分は鉄材などに再活用

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む