1 安全風土の確立に向け事業者に期待される取組み  国土交通省が平成17年12月に実施した意識調査によると、公共交通機関の安全性を高めるために必要な対策として、「安全に関する規制を強化する」、「事故の原因究明を充実させる」等行政による対策の充実強化を求める回答も多いが、一方で「安全管理に関する事業者の社内体制を整備する」との事業者における体制整備を求める回答も多い。 図表I-3-2-1 公共交通機関の安全性を高めるために必要だと思う対策(複数回答)  運輸の安全性確保を支える第一義的な主役は、実際に輸送サービスを提供している事業者であり、それぞれの事業者が安全確保の重要性を再認識し、安全風土の構築に向けて、経営のトップから利用者に直に接する現場まで一体となった取組みを行うことが重要である。  このためには、事業者が経営トップのリーダーシップの下で、PDCAサイクル(注)を重視したプロセスチェックを実現するための安全マネジメント態勢の構築を始めとする以下に掲げる取組みを不断に行うことが強く期待される。 ○ 安全マネジメント態勢の構築と継続的取組み ・ 経営トップのコミットメントの明確化 ・ 基本方針の確立・明確化 ・ 事業に伴う安全に関するリスクの洗い出し(リスクアセスメント) ・ 把握した安全に関するリスクの優先順位付けと対応策の検討・実施 ・ 社内体制の整備及び責任と権限の明確化 ・ コミュニケーション・情報共有のための適切なプロセスの確立 ・ 効果的な内部監査の実施(外部人材の活用を含む) ・ 経営トップの関与の下での定期的な見直しと継続的な改善措置の実施 ○ 安全風土を構築するための教育・研修の実施 ○ 危機発生時の対応方針の確立 ○ 適切な健康管理(身体適性、運転適性、日常管理)の実施 (注)計画(Plan)を実行(Do)し、評価(Check)して改善(Action)に結びつけ、その結果を次の計画に活かすプロセス