第1節 観光立国の実現をめぐる動向 1 観光立国の意義と最近の動向  観光は、個々の人々の生活にゆとりと潤いをもたらすのみならず、経済、文化等、他の様々な側面においても重要な意義を有している。具体的には、観光産業は、旅行業、運輸業、宿泊業、観光施設業、土産品産業のほか、飲食業、農水産業、建設業等にまで及ぶ裾野の広い産業であり、これらを包含した国民経済に対する影響は大きく、我が国のGDPに占める比率は2.4%となっており、化学産業(1.8%)や一般機械産業(2.0%)を上回っている。  また、観光の振興は、地域での交流人口の増加、観光消費による産業や雇用の創出、地域の魅力の発掘・育成等を通じて、地域の活性化に大きく寄与するものである。  さらに、国際観光は、直に外国や外国人に接することを契機として、国際相互理解の増進、ひいては国際平和の実現にも貢献すると言われている。  このため、平成15年以来、観光立国の実現を国家的な政策課題として位置付けており、政府を挙げて様々な取組みが行われている。  特に平成17年には、中部国際空港の開港、愛知万博の開催、知床地域の世界遺産登録といった国内での動きがあり、国土交通省においては、15年度から実施しているビジット・ジャパン・キャンペーン等による「日本ブランドの海外への戦略的発信」と、17年度から開始した観光ルネサンス事業等による「国際競争力のある観光地づくり」を二つの柱として、観光立国の実現に向けた取組みを推進している。なお、比較可能で整合性のとれた観光統計を充実し、より質の高い観光政策の策定につなげるため、18年度から全国的な宿泊統計を実施し、その有効な活用を図ることとしている。 図表II-2-1-1 観光消費の我が国経済への貢献(平成16年)