第I部 地域の活力向上に資する国土交通行政の展開 

第6節 交流人口拡大に向けた観光振興

(観光振興と地域活性化)
 観光は、各地域が持つ自然や景観、歴史、伝統、文化等の資源をいかし、地域独自の創意工夫をいかした取組みが可能であること、関連産業の裾野が広く大きな経済効果が期待できること等、地域の活性化に大きく寄与するものである。しかも、観光振興が地域にもたらす影響はこうした経済効果にとどまるものではない。
 第1章で見たとおり、今後、人口減少、高齢化は避けられない状況にあり、また、その一方で本格的な国際交流の進展が見込まれる。そうした中にあって、観光は地域の主体的な取組みによって、交流を活発化させることから、地域の活性化にとって重要である。
 また、観光客を誘致するための取組みは、各地域が自らを見つめ直し、地域の魅力等を再確認していくことでもある。地域の人々が自らの地域の魅力を感じ、その地に住むことに誇りと愛着を持つことにより、一層活発に地域づくりが進められることになる。
 「観光振興に関する意識調査」(NTTレゾナント、三菱総合研究所)を見ると、住民も観光振興に期待しているのは、こうした役割であることがうかがわれる。
 
図表I-2-6-1 居住市町村への観光客来訪による地域への影響

観光振興のもたらす、居住市町村への影響として、地域の経済・産業の活性化、地域のにぎわいなどについては、よい効果・影響があると回答する割合が、悪い効果・影響があると回答する割合よりもかなり大きく、その差はそれぞれ70.1%、62.3%であった。
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(観光振興に向けた取組み)
 このような観光振興に向けた取組みは、地域により、主体的に行われることが重要である。国としては、こうした各地域の主体的な取組みを、ハード、ソフトの両面から支援していくとともに、我が国全体として外国人観光客を誘致していくための活動や、円滑な移動の確保、関連産業の活性化等の条件整備を進めていくことが求められる。
 現在、我が国では、観光立国の実現に向け、政府を挙げた取組みを進めている。加えて、今後定年を迎える「団塊の世代」は、旅行に対する志向が強く、観光の需要は高まっていく状況にある。地域においては、こうした機会をとらえ、観光振興に向けた主体的な取組みを本格的に進めていくことが求められている。
 
図表I-2-6-2 団塊の世代アンケート「60歳を過ぎてからの人生でやってみたいこと」(複数回答)

いわゆる団塊の世代に対して、60さいを過ぎてからの人生でやってみたいことについてアンケート調査したところ、国内外への旅行と回答した割合が68%と一番多かった。
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