第II部 国土交通行政の動向 

(2)適正な施工確保の推進

 不良・不適格業者(注)を放置することは、建設工事の品質確保に支障が生じるだけでなく、適正な競争を妨げ、技術力・経営力を向上させようとする優良な建設業者の経営を疲弊させ、ひいては建設業の健全な発達を阻害することとなる。このため、建設業許可行政庁が直接工事現場や営業所等に立入検査を実施するなど、法令違反への厳正な対応を行うことにより、不良・不適格業者の排除の徹底を図っている。また、経営事項審査における虚偽申請に対しては、申請受付の段階で重点的に調査すべき者を体系的に抽出し、立入検査等の厳格な調査を行う体制を整備するなど、虚偽申請の徹底的な排除に向けて取り組んでいる。
 さらに、建築物の安全性に対する国民の信頼を回復するため、平成18年12月に制定された「建築士法等の一部を改正する法律」により「建設業法」が改正され、分譲マンション等発注者とエンドユーザーが異なる一定の工事について一括下請負を全面的に禁止するなど、建築士制度の見直しと併せて建設工事の適正な施工を確保することとしている。


(注)一般的に、技術力、施工能力を全く有しないペーパーカンパニー、経営を暴力団が支配している企業、対象工事の規模や必要とされる技術力からみて適切な施工が行い得ない企業、過大受注により適切な施工が行えない企業等を指す。

 

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