コラム・事例 温泉を核とした国際交流によるまちづくり〜温泉とともに歩んだ直入町の軌跡〜  直入町(現竹田市直入町)は大分県の中央西南に位置し、久住連山の東山麓の標高340C〜999Cに広がる面積83.83平方キロメートルの小さな町です。  直入町は、長湯温泉が国民保養温泉地に指定されるなど、古くから温泉地として知られていましたが、炭酸泉ガスを含有していることから管理に手間をとるなど、温泉地であることのメリットがいかせない状況が続いていました。  しかし、ある会社から、長湯温泉が、炭酸ガスを含有している温泉としては高温(36度)で湧出量が多く、全国的にも貴重な温泉であるとの報告書が出され、まち全体で長湯温泉のPR活動が始まりました。  平成元年に、「全国炭酸泉シンポジウム」が開催され、これを機に、温泉療養の世界的先進地であるドイツとの文化的・経済的交流が始まりました。特に、ドイツの代表的な温泉療養地であるバートクロツィンゲン市とは、コーラスグループや中学生の相互交流、直入ラベルのドイツワイン等の直輸入等を通じて深い交流が続いています。  また、ドイツとの交流を記念してつくられた「ドイツ村」では、ドイツ風住宅や飲泉所等が整備され、まちの至る所でドイツ文化を感じることができます。  このような温泉や国際交流を活かした地域の独創的な取組みにより、長湯温泉は全国から注目されています。直入町の観光客数は、最近10年間で約30万人から約80万人へと急増しており、一大観光地へと大きな変貌を遂げています。