コラム・事例 地震からあなたを守る新しい情報〜緊急地震速報の段階的提供〜  緊急地震速報は、震源に近い地震計で初期微動(P波)を検知して、地震の震源・規模及び各地の震度等を秒単位という短時間で推定し、情報として発表するものです。この情報を、主に被害を発生させる主要動(S波)が到達する前に受信し、速やかに適切な対策をとることにより地震被害の大幅な軽減が期待されます。  しかし、緊急地震速報には、震源に近い場所では情報の提供が間に合わないことがある、震度等の推定には誤差を含んでいる、などの技術的な限界があり、また、集客施設等で緊急地震速報が提供された場合に多数の人が出口に殺到して将棋倒しになるといった混乱等の発生も懸念されるなど、利用に当たっての課題もあります。このため、緊急地震速報を広く国民に提供するためには、情報の特徴や限界、情報を受信したときにとるべき行動を示した心得について事前に十分な周知・広報を行うことが必要です。  気象庁では、学識経験者や報道機関等からなる検討会における検討結果を受け、情報の特徴や限界を理解し、混乱を生じることなく有効に活用できる利用者からの早期の実用化への要望も踏まえ、平成18年8月から、列車やエレベーターの制御、工場や工事現場等における訓練された作業員の安全確保等に活用する利用者に対して緊急地震速報の提供を開始しました。同年12月末現在で約300機関が緊急地震速報を受信しています。  今後は、緊急地震速報利用上の心得等について十分な周知・広報を行った後、平成19年9月頃に広く国民への緊急地震速報の提供を開始することを目指しています。