第2節 平成20年度における組織改編 

2 運輸安全委員会及び海難審判所の設置

 国民の安全・安心を確保するため、平成20年10月1日に航空・鉄道事故調査委員会及び海難審判庁を改組することにより、運輸安全委員会及び海難審判所を設置し、事故原因究明機能の強化・総合化を可能とする次のような体制が整備された。
 第一に、運輸安全委員会は、いわゆる「三条委員会」(注1)であり、その職員の任免権や規則制定権に基づき、より主体的に組織を統轄することで政策立案・実施機能の高度化を可能とする体制が整備された。第二に、運輸安全委員会の業務範囲に海難を加えたことにより(注2)、航空、鉄道、船舶交通に共通する専門的知見を有効に活用し、陸・海・空にわたる総合的な事故原因究明を可能とする体制が整備された。第三に、新たに原因関係者へ直接勧告が行うことができるようになるなど、事故再発防止機能が強化された。
 今後も、国民の安全・安心の確保に向け、的確な事故原因の究明と再発防止策の提示を行うこととしている。


(注1)国家行政組織法第3条にその根拠を持ち、職員の任免権や規則制定権など法律に基づく権限を有する委員会。従来の航空・鉄道事故調査委員会は、同法第8条にその根拠を持ち、国土交通省の「審議会等」という位置付けであり、その職員の任免権、規則制定権等を保持していなかった。
(注2)海難については、従来、海難審判庁にて、原因究明と懲戒手続を一体的に行ってきたが、懲戒から分離した、再発防止のための「原因究明型」調査とすべきとの国際的潮流を踏まえ、原因究明は運輸安全委員会において、懲戒は海難審判所にて、分離して行うこととした。

 

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